Angus and Julia StoneのFOHエンジニア、Adam Rhodesは、Royal Albert HallでL-ISAを初めて体験
2018年8月
Adam Rhodesは過去10年間フォーク/ロック・デュオのAngus and Julia StoneのFOHエンジニアを務めてきました。また、彼は長年のL-Acousticsユーザーでもあり、ツアー機材としてKシリーズシステムを常に使用しています。今年6月、欧州ツアーのStone姉弟のプロダクションサプライヤー、Britannia Row Productions(BRP)は、Rhodes氏にL-ISAハイパーリアル・サウンド・テクノロジーでオーディオ・ディメンションを広げる機会を提供しました。彼にはL-ISAシステムを学ぶための時間がなく、まして、初めて音響的に難しいと言われるロイヤル・アルバート・ホールでその仕事をしなければなりませんでした。結果、彼の言い方では「啓示」でした。
「ショーの数ヶ月前にL-ISAを体験するチャンスがありました」と言います。「BRPのLez Dwightが、ロイヤル・アルバート・ホールでL-ISAシステムを使用して行われるClassic Brits アワードがあることを教えてくれました。また彼は、私がステムミックスやフィルムミックスの経験が豊富なことを知っていたのでL-ISAを使用することに抵抗はないだろうと考えました。私も必ず楽しくて素敵なパフォーマンスになると思ってチャレンジすることに決めました」。
Rhodes氏はL-ISAを使用することに興奮していましたが、システムに詳しくなかったにも関わらず、難しい会場として知られているロイヤル・アルバート・ホールが初めての現場で少し不安に思ってもいました。
「ロイヤル・アルバート・ホールは難しいという話を聞いたことがありました。 残響時間が長く会場全体で明瞭度を得ることが難しいことを知っていました」と説明します。それでも、Dwightさんを信じてやってみようと思いました」。
ショーの前に、Rhodes氏はBRPのプロダクションルームに招待されました。小さなセットアップを設置し、Avid S6Lコンソールをプログラムして、L‑ISAシステムのトレーニングを受けることができました。Rhodes氏にとって貴重な経験となりました。「オフィスルームであったにもかかわらず、システムの設置と動作を理解することができてトレーニングを受けてよかったと思いました。初めてのこともありセットアップをするのに少し時間がかかりましたが、システム全体がとても直観的で、使い方が非常に簡単でした。この貴重なトレーニングを受けたお陰で、ホールに足を踏み入れたときは自信にあふれていました。一度システムを設置して稼働させたら、あとは簡単でした」。
Classic Brits アワードで使用された L-ISAシステムは、15台のKaraからなる5つのハングがフロントシステムとして使用され、更に10台のKaraのサイドハング2つが使用されました。6台のX8と4台のSB18がフロントフィル、さらに6台のX8が一階前方の座席をカバーしました。システム全体は、合計27台のLA12Xアプリファイドコントローラによってドライブされました。
Rhodes氏にとって初めてだったこともあり、彼は慎重にショーを行いました。「当日、L-AcousticsのSylvain Biguetは一緒にいてくれました」と指摘します。「1ヵ月のツアーだったし、L-ISAの使用も初めてだったので、私の最終目標はプロダクションが、後戻りしていると感じさせずに今までと同じ結果を出すことでした」。
「Rhodesさんは素晴らしいエンジニアであり、ミックスに関して確立された方法に従っています」と、Biguet氏は述べています。「L-ISAの主な目的は、常にエンジニアがその技術を最大限に活用できるようにすることです。 差しでがましいですが、ほんの少しのヒントを与えただけで、彼はL-ISAを操ることができ、自分のアプローチをL-ISAワークフローに変えることができました」。
Rhodes氏はよく複数のグループとパラレル・コンプレッションを使用していて、複数のドラムキットや他の楽器のストリームを物理空間に配置するためにそれらのグループを利用して、マルチチャンネルサウンドトラックと同様に動作させます。L-ISAに関する主な懸念は、Angus Stoneが非常に静かな声で歌っているので、ハウリングせずにPAからボーカルが十分なゲインを得られるかどうかということでした。
「L‑ISAでは、心配する必要はありませんでした。実は、音量を上げることなく、L-ISAコントローラ・インターフェースでサウンドステージの前方へエレメントを移動させることができたので、通常よりもゲインを得ることができました。「物理空間を利用して欲しいエレメントを前に持って来ました。そのエレメントが強く聞こえるのではなく、近く感じられたのです。私にとって、ボーカリストが皆で1本のマイクの周りに立って、ソロパートの時はマイクに近づくブルーグラス音楽のようでした。これはこれからずっと使用していきたい革新的な技術です。毎日使用できれば良いなあと思います」。
Rhodes氏はこの会場の経験がなかったのですが、会場に自然なリバーブがあり、リバーブタイムで困難に感じたことがありませんでした。
「すべてがうまくいきました」と感動して言いました。「たとえば、センターハングで2つのハングによるファントム・センターを真ん中からブレードのように「カット」することが楽しくてしょうがなかったです。L-ISAの面白さを本当に理解したのは演奏後1週間ほどでした。 実は当初の目標よりずっと素晴らしい結果を出せたと思います。
「イマーシブ・オーディオそのコンセプトは楽しくて面白いです。過去10-15年にわたって照明業界で大きな技術的進歩が起きました。ついに、その大きな進歩はオーディオ業界にも起きたのです。私は自宅でステレオを聴きません。今はサラウンドサウンドシステムを聴いています。これからうまくいけば、仕事環境でも同じことを行うことができます。革新的な技術です」。