板橋区立文化会館 様にL-Acousticsをご採用いただきました
東京都板橋区に1982年にオープンした板橋区立文化会館は「ひととまちを文化でつなげ、文化による賑わい創出に貢献し続けます」という言葉を掲げ、長年板橋区民から親しまれているホールです。
板橋区立文化会館は会議室や茶室、ダンスやバンド練習のための部屋も備えた多目的施設で、今回は会館のメイン施設となる「大ホール」の音響設備更新でL-Acoustics Kara IIを中心としたシステムを採用していただきました。
導入システム
板橋区立文化会館 大ホールの音響設備更新は約5年の歳月をかけ、ミキサーやワイヤレスシステムなど古い機材を新しいものへ毎年少しづつ更新してきたということ。本年は大ホール改修の最終段階である出力系の更新で、スピーカーとアンプが更新されました。
プロセニアム センター:Kara II x 12
プロセニアム L-R:Kara II x 10(片側=5)
サイドスピーカーL、R:Kara II x 20、KS21x6(片側Kara II x 10、KS21 x 3)
インフィルL、R:X15HiQ x 2(片側=1)
プロセッサー:P1 x 2
パワーアンプ:LA4X x 14, LA2Xi x 1
L-Acousticsが選ばれた理由
当ホールの音響主任である持田 勝久 様(株式会社シグマコミュニケーションズ 所属)に、この度の更新やホールの音響についてうかがいました。
まずはL-Acousticsが選ばれた理由について。持田 様が約10年前に板橋区立文化会館に赴任してきた当時、移動用のメインスピーカーとしてL-Acoustics ARCSが使われていました。その音を初めて聴いた時「解像度と明瞭度が高くとても気に入った。」という印象が心に残っていたということです。
もちろん更新のプランはいくつかの候補や提案があったということですが、最終的にL-Acousticsが採用されることになりました。機種選定のために、この大ホールで比較試聴会が行われ、KARA IIとA15が試聴比較されました。その中でもKARA IIが選ばれたのは「2階席にいても1階席とほぼ同じ聞こえ方がしたことがとても良かったから」という理由からでした。
施工の模様
施工管理は ヒビノスペーステック株式会社 様によるもの。持田 様は「特に問題もなくスムーズに導入ができた」とおっしゃっています。貴重な施工中の写真でその様子を御覧ください。
露出を選んだプロセニアムセンタースピーカー
センター、L、R の3点からなるプロセニアムのスピーカーについて、LとRは従来どおりサランネットの奥に設置されていますが、センタースピーカーだけは露出して設置されることになりました。
このプロセニアム センターは開口部の形状の影響により、客席の2階から1階最前列あたりまでに十分な指向性を保障することができなかったため、このような形で取り付けられました。結果的に望む指向性を実現し問題を解決することができました。
LとRのそれぞれ5本ずつのKara IIは2階を狙っており、センターで補えない2階の端付近の音圧を上げる役割を担っています。
ハウリング問題の解消
L-Acousticsへの更新によって高品位な音質を広い客席に均一に届けられるようになった以外に、ハウリングの問題が解消されたことも当ホールの大きな革新の一つになりました。
これまで使われていたスピーカーシステムは出力も大きく音も悪くは無かったということですが、経年劣化によるハイ落ちを補うためにEQで強く補正されており、特定の周波数帯域の音が舞台に回り込むことでチェック中にハウリングが頻繁に起きていました。「それがL-Acousticsになってからいくら音量を上げてもハウリングしないんです。すごいです。」と持田 様は喜びの表情でおっしゃってくださいました。
AVBによるデジタル回線環境とP1
板橋区立文化会館は回線のデジタル化を推進しています。現在、コントロールルームのAvid VenueコンソールからAESでAVBプロセッサー P1に入力され、アンプルームのLA4XとLA2XiにネットワークオーディオのAVBで接続されています。制御と監視はLA Network Managerで行っています。
従来のアナログ回線もリダンダントとして残されており、万が一の際には瞬時に切り替わり、公演を続けることが可能です。「しかし、デジタル回線と比べてアナログ回線はハイ落ちしているような、明らかな音質の差があります。今はまだステージからコントロールルームまでの回線はアナログなので、近い将来はそこもデジタルにしたいと考えています」最後に持田 様はホールの将来像をそう語ってくださいました。
板橋区の下町風情が漂う街で長い間区民へ文化的コンテンツを届けてきた板橋区立文化会館。落ち着いた佇まいの中に秘めた最新設備による高品位な音は、地元板橋の賑わいをさらに活気付けるものとなるでしょう。