Jazz à la Villetteの観客がL-Acoustics L-ISAの自然で美しいサウンドを楽しむ
L-ISA Hyperreal Sound技術は、シテ・ド・ラ・ミュジークで開催されたJazz à La Villetteの観客に新たなオーディオの視点を提供しました。
パリで毎年開催され、3万人以上のジャズファンが集う11日間の音楽の祭典を、イマーシブオーディオでお届けします
2021年10月
毎年9月、パリで3番目に大きな公園であるParc de la Villette(ラ・ヴィレット公園)に何千人ものジャズファンが集まり、有名なフェスティバル「Jazz à La Villette」を楽しみました。このフェスティバルでは、今をときめくアーティストやさまざまなジャズスタイルを紹介するとともに、この音楽ジャンルの歴史を振り返り、特に重要な年やインスピレーションを与えたミュージシャンに敬意を表します。印象的な出演アーティストの一覧を誇った今年のフェスティバルでは、L-AcousticsのL-ISA Hyperreal Soundテクノロジーにより、シャープで多彩なプログラムが繰り広げられ、新しいオーディオの展望が開かれました。
シテ・ド・ラ・ミュジークは、フィルハーモニー・ド・パリの施設を構成する2つの建物のうちの1つで、このフェスティバルの主要な会場になりました。シテ・ド・ラ・ミュジークのSalle des Concerts(コンサートホール)にL-ISAを導入したのは、フィルハーモニー・パリのオーディオ・ビジュアル部門の副責任者であるEmmanuelle Corbeau(エマニュエル・コルボー)氏です。
「私は物心ついたときから、音の空間化に魅了されていました。しかし、当初はインイヤーモニターのエンジニアとして働いていたため、当時利用可能だったバイノーラルの研究を調べた以外は、その技術を使って楽しむ機会はあまりありませんでした。」と彼女は言います。「2015年にフィルハーモニー・ド・パリのFOHエンジニアとして働いたとき、私にとって空間化された音の可能性に新しい世界が開けました。ある日、L-Acoustics Creations IslandのためにBubbleを23.1でミキシングしていた友人が、L-ISAでのミキシングは『すべてが自然だから』ずっと楽だと言っていました。この言葉を聞いて、私もL-ISAを使ってみたいと思いました。」
トレードショーや展示会でL-ISAのデモを何回か聴いたコルボー氏は、まず Centre de Formation Professionnelle de Technique de Spectacle(CFPTS 演奏技術のための職業訓練センター)の空間化サウンド専門コースに入学し、L-Acousticsのエティエンヌ・コルティールがL-ISAの科目を教える中で、空間化技術の概要を知ることができました。その後、彼女は2019年にシテ・ド・ラ・ミュジークでL-ISAを使った初のライブを経験し、L-Acousticsのサポートを受けながらプロジェクト全体をリードしました。
「イベントはEDMのコンサートで、大成功を収めました。だからこそ、私はまたL-ISAを使おうと決めたのです!」とコルボー氏は熱く語ります。彼女とフィルハーモニー管弦楽団のチームは、L-Acousticsのアプリケーションプロジェクト担当者であるアルノ―ドゥロールム(Arnaud Delorme)氏が指導する専用のトレーニングを受け、L-ISAテクノロジーの可能性を最大限に追求しました。
コルボー氏がトレーニングを生かす機会は、今年のJazz à La Villetteフェスティバルですぐに訪れました。L-ISAテクノロジーがパフォーマーに新しい視点を与え、ジャズファンに自然で活気あるリスニング体験を提供する完璧なプラットフォームでした。
フィルハーモニーには、両会場にL-AcousticsのK2とKaraシステムが常設されています。コルボー氏は、シテ・ド・ラ・ミュジークでKaraのキャビネットを使用し、さらにレンタルと設備施工のスペシャリストであるAudioliveのキャビネットを追加して、L-ISA シーン・システムを完成させました。追加のキャビネットは、L-Acousticsの新機能である「スペースフィル」として使用されました。これは、物理的にクロスカバーができない場所にシーン・システムの仮想的なレプリカを作成し、ゲイン/ディレイによるアルゴリズムを使用してオーディオオブジェクトを配置することで、オブジェクトの分離、カバレッジ、レベルの一貫性を向上させるものです。
1日ですべてのセットアップを終えたコルボー氏は、事前にドゥロールム氏からデザインのサポートを受けていました。「トレーニングを受けていたので、セットアップは自分でできましたが、何か問題があったときのための セーフティーネットがあるというのはとても安心できました。」
「L-Acousticsのチームは、L-ISAをはじめとするショーのサポートを常に行っていますが、正直なところ、私の仕事はここでは簡単でした。エマニュエルさんはデザインからミックスまで見事にこなしてくれました。彼女の才能と、従来のステレオ構成からイマーシブに簡単に切り替えられるL-ISAの直感的な特性のおかげです。」
楕円形のコンサートホールでの最終的な構成は、L-ISA シーン・システムをメインシステムとして、8台のKaraによる5つのアレイがステージ前部に均等に配置され、アウトフィルとして2台のA10 Wide/Focus(1台ずつ)による2つのアレイが配置されました。スペーシャルフィルとして、1台のKiva IIによる8スタックがステージ前方に均等に配置され、6台を真正面に向け、外側の2台のKiva IIはサイド席に向けて角度をつけました。サラウンドは、トラスからハングされた4台の115XTでカバーされました。
コルボー氏は、来場したオーディオエンジニアをサポートすると同時に、いくつかの演目でFOHミックスエンジニアとしても活躍しました。「全く違うタイプのパフォーマンスのミックスをしました。1つはとてもにナチュラルなサウンドのジャズカルテットで、もう1つはエネルギーのあるパフォーマンスだったので、多くのSPLが必要でした。」と彼女は言います。「両者の大きなメリットは、オブジェクトベースのミキシングはステレオに比べて脳の処理が非常に簡単で、より快適なリスニング体験を提供してくれることです。」
「L-ISA 3Dのミキシング環境は、非常に直感的で分かりやすいと感じました。」とコルボー氏説明します。「L-AcousticsのワークフローやSoundvisionやLA Network Managerなどのツールにかなり慣れていることが、映画祭のために技術を導入する際に役立ったのは間違いありませんが、L-ISAコースに参加したミュージシャンの一人が、L-ISA Controllerは事前の経験や技術的な知識がなくても本当に簡単に使えるツールだと言っていたことを覚えています。」
ゲストのサウンドエンジニアの中には、特にL-ISA Controllerの使いやすさや、ソースの配置やマスク解除の方法に満足していました。「特にあるエンジニアが、非常に大音量のパフォーマンスをミックスしていましたが、L-ISAが非常ににうまく機能しました。複数のソースがある場合、リスナーに負担をかけずに低音圧から高音圧までスムーズに移行できるので、彼は安心していました。」と続いて語ります。
「L-ISAの最も美しい点の一つは、文字通り人を3Dでサウンドスケープに包み込むことで、音楽に囲まれていることを感じられることです。」と続けます。「フィルハーモニー・ド・パリのテクニカル・ディレクターと会場のテクニカル・マネージャーの両方から、違う楽器間のニュアンスをより聞き取りやすくなったことで、サウンドのレイヤーをより深く掘り下げて、音楽のパフォーマンスを全面的に味わうことができるようになったと言われました。」有名で才能豊かなミュージシャンたちとジャズに満ちた11日間を過ごした後、コルボー氏は一つだけ寂しいことがあると言います。「Jazz à La VilletteでL-ISAを使用したことはとても素晴らしい経験だったので、ステレオのミキシングに戻ることは難しいですね。」と彼女は微笑みます。「オブジェクトベースミキシングという新しい言語は、サウンドの将来を担うものなので、学ぶ価値があると思います。来年も、そしてこれからも、L-ISAでこの素晴らしい体験を繰り返していきたいと思います。」
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