静岡県伊豆の国市の人里離れた場所に2024年8月にオープンした「crotchet / school(クロチェットスクール)」は、音楽やトークのライブはもちろん、焚火や美しい星空、豊かな自然を活かした様々なイベントが行える施設です。この施設を企画・運営しているのは、東京都阿佐ヶ谷にある音楽をテーマにしたカフェ「crotchet / cafe」です。このカフェは地下に「crotchet / studio」というライブスペースを備えており、音楽やトーク、そのほか多種多様なライブイベントを開催し、その多くを配信しています。

crotchet cafe | crotchet studio

株式会社crotchetの取締役である鶴田氏は、crotchet / cafeを作った理由について「仕事も遊びも、人生の全てを楽しみたいと思ったからです」と語ってくださいました。そのコンセプトが拡大し、2024年8月に伊豆の自然の中で「crotchet / school」が誕生しました。

crotchet / school外観

crotchet / schoolは、サマースクールや林間学校などで使われていた廃校をDIYでリノベーションした施設で、本記事執筆時点では、メインステージ(120畳・着座300名)、ワークスペース、教室2部屋の合計4部屋が稼働中です。(なお、サウナも建設中とのことです。)

こけら落としのイベント「RONDAN FES 2024 in IZU(論壇フェス)」は、「皆で世界の諸問題を解決する道を模索しよう」という趣旨のトークフェスティバルで、著名なメディア関係者や言論人が集結し、2日間にわたり30ものトークセッションが繰り広げられました。現地の来場者に加えて配信の同時接続数は3,000を超え、さらに後日に都内で後夜祭も開催されるなど、その試みと参加者の関心の高さが話題となりました。

この論壇フェスのメインステージとなった120畳のその名も”ソクラテスステージ”にMIDAS M32 LIVEが導入されています。

M32 LIVEは常設。ステージ(約9m×6m)の上下袖にはステージボックスDL16を一台ずつ配置し入出力を確保。

鶴田氏と、音響を担当するcrotchet / cafe店長のMAN氏に、M32 LIVEの導入についてお話を伺いました。

crotchet / schoolの音響機材を選定し始めた当初、お二人はオークションサイトで競合モデルの中古品を購入することを考えていたそうです。しかし、サポート窓口が無いリスクを考慮し、新品の購入を決断。その後のご縁で、MIDAS M32 LIVEに出会いました。MAN氏は、MIDASを選んだ理由の一つとして、知り合いのPAさんがMIDAS PRO1を個人所有していたことを挙げています。
「私が信頼している人が信頼しているブランドであれば、安心して使えると思いました。」

2024年5月に購入したばかりのM32 LIVEを、3か月後の論壇フェスに投入するにあたり、MAN氏はまずcrotchet / cafeでM32 LIVEの習得に取り掛かりました。「日が迫っていたので、まずはイベントで使用する機能に集中し、要点をベステックオーディオさんに質問しながら使い方を覚えました。crotchet / cafeで配信イベントを数回こなせるようになってから、本番に臨みました。論壇フェスではトラブルもなく、うまくいきました。」

crotchet / schoolでのM32 LIVEの運用は、現場のPAとモニター返しに加え、配信用のミックスを作ってPCへ送るという、同時オペレートが行われています。論壇フェスの際も、会場の観客数を超える多くの配信視聴者へ最良の音を届けるため、MAN氏は慎重にオペレートを行ったそうです。

M32 LIVEの使い心地について、MAN氏は続けます。「私は元々DTMをやっているので、例えばEQはRTA(リアルタイムアナライザ)とEQカーブを使って視覚的に音をモニターできるところが、DAWのプラグインと同じ感覚で使えると思いました。
それから、FADER FLIPボタン(SENDS ON FADER)がとても便利だと感じました。配信用に作るミックスと、その送りの状態が目で見て分かるので、オペレートがしやすかったです。」(MAN氏は配信用のミックスをBUSで作り、配信用のPCに送っています。)

さらにMAN氏は、配信の際に会場のエアマイクの音を混ぜることにこだわりがあると言います。「ライブは単なる鑑賞ではなく、“体験”だと思っています。配信視聴者にも、まるでその場にいるかのように、笑いやどよめきを一緒に体験できる配信にしたいと考えています」と思いを語ってくださいました。

コントロールルームすぐ横に取り付けられたエアマイク。

MAN氏はM32 LIVEの音質についても語ってくださいました。「S/N(信号対雑音比)が良いですね。トークイベントの登壇者はミュージシャンとは違って、マイクの扱いに不慣れだったり、声が小さい方もいます。さらに、無音(沈黙)の時間があるため、S/N比が重要になります。フェスではクリアな音でPAができましたし、配信でも気になるノイズは聴こえませんでした。」

MAN氏は、M32 LIVEを導入した感想について続けます。「良い買い物でした。M32 LIVEは、まず、見た目がかっこいいです。所有欲を満たしてくれるアイテムだというのが第一印象でした。そして、大きすぎず小さすぎもしないサイズ感で、一人でもぎりぎり持てる重さなのも魅力です。DL16と一緒に導入したので、コンソールの便利さを十分に活用できたとも思います。」

音楽ライブを想定したメインステージのセットアップ

MAN氏は今後、M32 LIVEのさまざまな機能を活用していきたいとも語ってくださいました。「iPadによる遠隔操作はモニターの調整に便利でしょうし、まだ使っていないエフェクトも試してみたいです。音楽ライブのマルチトラックレコーディングにも挑戦してみたいですね。『M32 LIVEを使えばこれができるな』というアイデアがどんどん出てきます。」

最後に、鶴田氏にcrotchet / schoolのこれからの展望を伺いました。 「crotchet / schoolは、ここを訪れるお客さんにも伊豆の地域の方々にも楽しんでもらえる『楽しい場所』、そして、いろんな人たちに『さまざまな面白さを届ける場所』にしたいです。」

「人生を楽しむためにcrotchet / cafeを作った」という鶴田氏とMAN氏の思いが表現された3つの「crotchet」。その中でも最大の挑戦と言えるcrotchet / schoolは始まったばかりです。今後の発展に注目していきたいと思います。

左から 株式会社crotchet 店長 MAN 氏 | 株式会社crotchet 取締役 鶴田展之 氏

2024年10月現在、株式会社crotchetではオペレーターを求人しているということです。
MAN氏「音響、配信、ライブ制作、従業員のシフト管理などの事務作業、あらゆる業務で私と一緒にチャレンジできる人材を求めています。私自身、アーティスト活動をしていますし、マネージャー経験もあるので、そのような観点からも仕事を教えることができます。多岐に渡ってさまざまな楽しみ方を創り出せる職場です!気になる方はcrotchet / cafeまで。」

crotchet / school
Instagram https://www.instagram.com/crotchet.school/
施設利用予約サイト https://reserva.be/crotchet_school

crotchet / cafe
HP https://crotchet.cafe/