すみだトリフォニーホールがL-Acoustics KARA IIを導入し、自由度の高い企画が可能に。
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「墨田音楽都市構想」を掲げ、音楽によるまちづくりを進める東京都墨田区のシンボルとして1997年に開館した「すみだトリフォニーホール」は、大小2つのホールを持つクラシック音楽に特化したホールです。名称は「観客、アーティスト、ホールの三位一体」を意味する造語「トリフォニー」に由来します。1988年より新日本フィルハーモニー交響楽団とフランチャイズ提携を結び、区内外を問わず多くの人々に質の高い音楽を届けています。
すみだトリフォニーホールでは、数年前から毎年計画修繕を行っており、最終的に予定されている大規模改修に繋げる構想を持っています。その中で、2024年の計画修繕では、かねてより課題となっていた「スピーカー」がテーマとなりました。
すみだトリフォニーホールの豊かな響き(満席時残響2秒)は、観客と演者の双方から高い評価を得ていますが、その一方でスピーカーを使用した拡声の際に、残響の影響で音が不明瞭になることが悩みの種でした。この問題を解決するために選ばれたのがL-Acousticsでした。
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移動用のメインシステムとしてKARA IIとSB18(2:6対向)に加え、フロアモニターやインフィル、フロントフィルとして多用途に使用できるX12とX8(各10台)が導入されました。
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拡声時には、2階バルコニー向けにX8をスタンドに立て使用
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アンプルームのLA4X×8台。別室の音響室からLA Network Managerで用途に応じコントロールしながら管理されています。
音響システム設計と施工を担当したヤマハサウンドシステム株式会社(以下、YSS社)の提案について、ホールの企画・運営を担う公益財団法人 墨田区文化振興財団の藤井氏は、「L-Acoustics KARA IIは他のホールでも多く採用されており、安心感がありました。さらに、日本全国の音楽ホールを手掛けるYSS社の提案ということで、任せて間違いないと思いました。」と語ってくださいました。
また、ホールの管理および音響を担当している株式会社シグマコミュニケーションズ(以下、SC社)の三浦氏も、
「これまで乗り込みの音響業者が持ち込む様々なメーカーのスピーカーを聴いてきましたが、L-Acousticsは非常に良い印象を持っていました。他のホールでも評判が良いですし、安心して導入できると感じました。」と、提案当時の様子を振り返ってくださいました。
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3階席から撮影。客席を向いたKARA II。
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L-Acousticsの導入後の感想について、三浦氏と共に音響オペレーターを務めるSC社の黒川氏は次のように語っています。
「L-AcousticsのラインアレイSPに変わり、オペレートがとてもやりやすくなりました。これまでは、他社大型ポイントソースSPでの運用であったため、2階席や3階席の奥まで均等に音を届けようと音量を上げると、1階席最前列のお客さんには耳障りな音になってしまうことがありました。また、ホールの残響や特性上ハウリングが発生しやすいこともあり、そのバランスを取るためのチューニングに毎回手間がかかっておりました。今では狙った場所にしっかりと明瞭度の高い音を届けることが可能になり、最前列のお客様から『うるさい』と言われることもなくなりました。」
公益財団法人 墨田区文化振興財団で音楽事業の企画を担当する川島氏は、企画者の視点からこう述べています。
「音が良くなったことで、拡声が必要な音量の小さい楽器も安心して演奏できるようになりました。そのため、そういったアーティストを招きやすくなり、結果的に公演できるジャンルが広がって、これまで実現できなかった企画も可能になります。」
また、SC社の三浦氏も企画面について次のようにコメントしています。「音響が向上したことで、乗り込みの音響業者もホールのL-Acousticsを活用してくれるでしょう。そうなるとコストが削減され、企画もしやすくなります。」
先日のイベントでは、以前からこのホールに出演している司会者が、マイクチェックの段階で音の違いに気づいたそうです。以前に比べ話しやすくなったと感じたようで、川島氏は「出演者のストレスが減ることは、企画者としても非常に嬉しいことです」と笑顔で語ってくださいました。また、フロアモニターを使用したビッグバンドからも「自分たちの演奏が上手くなったように感じる」と喜びの声が寄せられています。
すみだトリフォニーホールは、評判の高い響きを楽しめるオーケストラや器楽の公演に加え、ジャズや落語をはじめとする古典芸能、さらにはトークショーなど、多様な分野の企画で区民に人気を博しています(稼働率9割超!)。L-Acoustics KARA IIをはじめとするサウンドシステムにより、ホールの音響自由度が大幅に向上したことで、さらに幅広い音楽事業にチャレンジできることでしょう。
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左から:黒川はるか 氏、三浦友幸 氏(株式会社シグマコミュニケーションズ)、川島健太郎 氏、藤井卓 氏(公益財団法人 墨田区文化振興財団)
すみだトリフォニーホール
〒130-0013 墨田区錦糸1-2-3
https://www.triphony.com/
ヤマハサウンドシステム株式会社
https://www.yamaha-ss.co.jp/