2024年6月22日 宮城県セキスイハイムアリーナを皮切りに、8月25日埼玉県 さいたまスーパーアリーナまでの9か所、11公演で開催されたアリーナ ツアー、『JUJU 20th ANNIVERSARY ARENA TOUR 2024 「YOUR REQUEST」』で、音響を担当した株式会社ケイアイエムに、モニター キューシステム MIDAS DP48を採用いただきました。

その選択理由をケイアイエム大村氏に、このツアーの最終公演である8月25日、26日のさいたまスーパーアリーナでの使い勝手などを、同社の木下氏に伺いました。

DP48を選択した理由

「会社のテーマとして、既存のシステムと違うモニターキューシステムの導入というものがありました。DP48以外にいくつかの候補があり、機能、金額、納期といった面で比較検討を行いました。選択したソースを子機ごとで違うチャンネルにアサインできるという必要最低限の条件をクリアしていたのとMIDASというブランドに対する信頼性、それと、べステックオーディオの対応の速さでDP48を選択しました。」と大村氏

DP48

上 M32C、下 HUB4

「ミュージシャンのファーストコンタクトを見ていると、好きな人はどんどん触って使っているが、この手が苦手な人はなかなか触らないなー、という感覚を持ちました。そこで、それぞれのミュージシャンの好みを探り、それに合わせた設定をあらかじめ保存した状態で渡すことにしました。」「また、モニター卓からのミックスでは満足しないミュージシャンが必ずいます。例えば、どうしてもハイハットは左から聞こえるようにしたい。その場合、ハイハットだけ別で送り出し、モニターしてもらうのですが、その際 Digicoのバスだけから信号を出し、ダイレクトアウトとミックスアウトが混ざらないようにしました。違うタイムのデジタル遅延を起こすことなく、ミュージシャンに同じタイム感を提供できたことは良かったです。」

「今後、社内でDP48は取り合いになるでしょう。」

さいたまスーパーアリーナ

さいたまスーパーアリーナでは、ストリングスで1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ビオラ、チェロの4名。ホーンセクションでトランペット、トロンボーン、サックスの3名、バンドはドラム、ベース、ギター、ピアノ、キーボードの5名、他にサポートメンバーに2名の総勢14名のミュージシャンがDP48を使用したそうです。また、モニターミキサー横にもDP48が置かれ、状況をモニターできるようにしていたとの事。

ケイアイエム 木下氏

2nd ヴァイオリン用

ホーンセクション用

モニターミキサーのDigico Quantum338から、信号をDN32-MADIカードが挿入されたM32CにMADIで送り、上手のドラム横と下手のストリングスの横に、それぞれ1台ずつ設置したHUB4にAES50で入力。HUB4から各DP48に接続されました。HUB4をステー上に配置することで、DP48に接続するLANケーブルの長さを揃えることができます。

特徴的な使い方はされていましたか?

「リハーサルが始まる段階でミュージシャンに説明し、リハが始まった直後は多機能なので質問されることが良くありました。ツアーが始まってからは慣れてきたからだと思うのですが質問も少なくなり自由に使っていました。基本のセットを作って渡しただけであまり苦労はなかったです。」と木下氏。

ベース用

ドラム用

キーボード用

木下氏はモニターミックスエンジニアとミュージシャンとの間でステージケアーを行っています。

「ミュージシャン同士がトークバック機能を使ってコミュニケーションを取っていました。キーボーディストがフルートとサックスも吹くのですが、フルートを吹くタイミングでDP48に内蔵されたリバーブをかけてより演奏しやすい環境を自分で作っていました。
また、リハの状況を録音し、マイナスワンで練習できることを説明すると、面白いね。今度やってみようという声が聞こえましたね。」「あと、M32C経由でチャンネルネーム付けと色分けができたのは助かりました。」「データをSDカードに保存してあり、次のツアーでも使用できるようにしています。来年のホールツアーでも使用する予定です。まだ使っていない機能がたくさんあるので使ってゆきたいと思います。」

ストリングス セクション

M32C

HUB4

JUJUオフィシャルサイト:https://www.jujunyc.net/

株式会社ケイアイエム:https://www.kim.tokyo/

DP48とは

パーソナルモニターミキシングの再定義

Midas DP48 は、デュアル 48 チャンネル パーソナル モニター ミキサーです。2 人の演奏者がモニター ミックスを完全に制御し、希望どおりの音を聴くことができ、リハーサルやパフォーマンスを録音および再生することもできます。シンプルで直感的なインターフェイスと、AES50 搭載のあらゆるデバイスに接続できる機能により、DP48 はスタジオやステージでの使用に最適な完全なモニタリング システムを作成できます。

あなたのミックス、あなたのやり方

DP48 は、12 個のステレオ グループを使用して、パフォーマーがモニター ミックスを完全に制御し、ミックスをすばやく作成してバランスをとることができるようにします。DP48 の 48 チャンネルすべてをこの 12 個のグループ内でミックスでき、あらゆる種類のモニター セットアップに対応できます。たとえば、ボーカリストはボーカル チャンネルをグループ 1 に配置し、ドラム、ベース、ギター チャンネルをそれぞれグループ 2、3、4 に配置できます。より細かいことにこだわるドラマーは、DP48 を使用してより複雑なミックスを作成できます。グループ 1 ~ 3 でキック、スネア、ハイハットを別々にミックスし、グループ 4 で 2 つのオーバーヘッド マイクを左右にパンします。

デュアルステレオミックス

デュアル ミックス機能により、2 人のユーザーを 1 台の DP48 に接続し、それぞれに個別のステレオ グループ ミックスを持たせることもできます。Mix A および B 出力にはそれぞれ 3 つの専用コントロールがあり、それぞれの出力ボリューム、選択したグループ レベル、割り当て可能な My Group レベルを個別に調整できます。両方のメイン ミックスには個別の EQ、リバーブ レベル、リミッター設定があり、2 人のタレントが異なるインイヤーまたはオーバーイヤー ヘッドフォンを使用している場合に特に便利です。

コントロールとその他

DP48 の各グループには、1 つのノブで制御できる独自の 3 バンド EQ、コンプレッサー、リバーブが備わっています。ボタンを押して、SELECT/EDIT ノブを使用してパラメータを調整するだけです。低、中、高のパラメータは、各グループのそれぞれの周波数を増減します。コンプレッサー設定は、選択したグループのコンプレッションと、ミックス A または B のピークリミッタのスレッショルドを制御します。スタジオ品質のリバーブを選択したグループまたはミックスに追加して、メイン コンソールから独立した個人用モニター ミックスに空間的な雰囲気を加えることができます。パン ボタンを使用すると、選択したグループのパノラマを調整できます。

SDレコーダーとプリセット

DP48 は、リハーサルやパフォーマンスの録音に使用する SD カードも受け入れます。録音したミックスは、Mix A または Mix B で再生できます。録音には、それぞれの My Group 信号を差し引くミックスマイナス機能があり、練習時のバッキング トラックとして使用できます。
完全なミキシングプリセットを SD に保存し、別の DP48 ミキサーを使用するときにそれを読み込むこともできます。

内蔵マイク

インイヤーモニターを装着している演奏者は、孤独感を感じることがあります。そのため、DP48 にはステレオ アンビエンス マイクが内蔵されており、演奏者が周囲の音をより多く聞き取ったり、演奏者同士でコミュニケーションをとったり、さらには観客の声をより多く聞き取ったりするのに役立ちます。

完全な統合

すべての DP48 は、Power over Ethernet (PoE) を備えた Midas HUB4 への直接 AES50 接続を介してリモート電源供給できます。Midas デジタル コンソールや I/O ボックスを含むすべての 44.1/48 kHz AES50 デバイスは、DP48 と互換性があります。AES50 リターン チャンネルにより、DP48 からのパーソナル ミックスをコンソールまたはハブに送り返して、ワイヤレス IEM トランスミッターに接続することもできます。入力チャンネルのラベル付けやカラー情報も、AES50 経由で DP48 に送信できます。Midas ハブに接続すると、DP48 をミキサーからリモートでセットアップおよび制御できます。
Midas M32コンソール ユーザー インターフェイスから直接、パーソナル ミキサー チャンネルの割り当てとグループ名を完全に構成することをサポートします。DP48 は、すべてのチャンネル ルーティングが構成されるデジタル コンソール サーフェスにチャンネル グループを完全に統合する初のソリューションです。

リモートコントロール

互換性のある FOH またはモニタリング コンソールからのリモート構成に加えて、どの DP48 ミキサーでも、ステージ上の 1 台または複数の他の DP48 ミキサーを完全に制御して、同時に変更を加えることができます。パフォーマーが自分のミックスに関してサポートを必要とするときはいつでも、ステージ技術者がリモートでサポートできます。 リモート コントロールは、Midas HUB4 経由で渡すことも、DP48 ミキサーをデイジー チェーン接続して渡すこともできます。

MIDAS DP48 製品ページ:https://www.bestecaudio.com/products/dp48/