人と芸術と社会をつなぐ 札幌市教育文化会館にL-Acousticsが採用される
人と芸術と社会をつなぐ
札幌市教育文化会館は、市内の芸術文化活動の拠点施設として1977年に開館して以来、“教文”という愛称で親しまれてきました。1,100席の大ホール、360席の小ホール、24~156席のセミナールーム9室、リハーサル・練習室4室、ギャラリー・展示スペースなどを備えています。この会場は、地元住民向けのさまざまなイベントに優れた環境を提供しており、コンサート、ダンス、演劇、芸術展示に加えて、さまざまなセミナーや会議も開催でき、芸術的および文化的な制作や発表のフォーラムとしても機能します。(札幌市教育文化会館ホームページより転載)
改修工事が終了し、2024年10月に再スタートした小ホールに、L-Acousticsのスピーカーシステムを採用いただきました。その様子を、公益財団法人札幌市芸術文化財団 教育文化会館事業部 管理課 舞台係長 髙田氏と株式会社ほりぞんとあーと 札幌市教育文化会館勤務(音響担当) 金村氏を訪ね、お話を伺いました。
髙田氏は、所属する財団が指定管理者として札幌市文化部が所有する札幌市教育文化会館の施設管理を行っており、その中で大小ホールの舞台管理をされています。金村氏は外部業者として常駐業務で契約をしている、ほりぞんとあーとに所属し、小ホールの音響担当をされています。
音響改修が行われた理由を教えてください
前回の更新(2003年)より20年以上が経過しており、パワーアンプの部分で、制御しているソフトウェアのパソコン(OS:Windows2000)の代替が困難になったことと、インターフェースカードに不具合が発生した場合、こちらも代替が無いとった状況で保守管理の観点から改修が必要だったと思われます。
L-Acoustics A10システムを採用いただいた理由は何でしょうか?
施設のキャパシティやプロセニアムアーチ型の劇場という仕様において、既存の開口部になるべくマッチする大きさのスピーカーで設計を依頼したところ、提案されたのが今回のA10システムでした。
過去KIVAを使用した仮設現場を何度か経験したことがあり、コンパクトではあるもののしっかりとした音で良い印象を持ちました。2017年に音響調整卓のデモを数台で行ったのですが、その際にリファレンススピーカーとして、べステックオーディオが持ち込んだのがKIVA IIでした。改めてL-Acousticsの良さを感じたところです。
導入機材
プロセニアム センタースピーカー:
上段から A10i FOCUS x 1台、中下段を A10i Wide x 2台。サブウーハーはKS21i x 1台。上段のA10i FocusはPanflexの設定が70°、中下段のA10i Wideは110°に設定されています。
サイドスピーカー:
KS21i x 1台の上に2台のA10i FOCUSをスタック、アウトフィルとしてX8 1台をLRで配置。
ホリゾントスピーカー:
KS21i x 1台の上に2台のA10i FOCUSをKS21-CHARIOTの上に移動できるようにスタックしLRに配置。通常はホリゾント幕の前に置かれ、効果音的な再生を目的としていますが、場合によっては舞台前方に移動することも想定しています。
モニタースピーカー:
移動できるスピーカーとしてX12を4台とX8を2台が常備されています。また、固定モニターとして舞台袖にX8を1台ずつLRで設置されています。
ステージフロントスピーカー:
5XTが2台 設置されています。
アンプリファイドコントローラー:
すべてのスピーカーは、LA4XとLA2Xiでドライブされ、LA2Xiではフラットプリセットを使用して、他社のウォールスピーカーや運営用のスピーカーをドライブしています。
最後に改修後の感想をお聞かせください
「音圧と音の質が向上しました。どちらかというと反響が多いホールですが、明瞭度が良くなり、音が耳にスーッと自然に入ってくるように感じます。サイドスピーカーの目の前にいても耳障りな音はしません。いままではスピーカーに近い場所ではきつい感じがしましたが、今は近くても遠くても、耳なじみのよい音がします。それは、音圧レベルの違う講演会とダンスイベントでも同じ感じです。」と金村氏は述べています。
「いままでのシステムは、旧世代のシステムで、スピーカーから音が出ている感じが目立っていました。今はステージから音が届いているように感じさせ、スピーカーから音が出ていることを感じさせません。音像も近くに感じます。また、ハウリングマージンが稼げるようになりました。サイドスピーカーは壁に埋め込まれているので、スピーカーが見えません。そのため、マイクを持ったままサイドスピーカーの前に立つ人がいますが、ハウリングは発生しなくなりました。」と髙田氏は続けます。
「教育文化会館は、古典芸能に力を入れていますが、オペラやバレエの演目も行っています。いわゆる多目的ホールの位置づけで運営を行っており、そのような様々な演目に対応できる設備を多く備えています。この小ホールの規模では、朗読劇や講演会なども多く、そんなおしゃべりの演目で、システムを入れ替えた効果が顕著に出てくるのではないかと思いますし、今後楽しみにしています。」と髙田氏は締めくくりました。
札幌市教育文化会館
〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西13丁目
管理課TEL. 011-271-5821
事業課TEL. 011-271-5822
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