「民間」「行政」「スポーツ」が三位一体となって作り出した、まったく新しいコンセプトのアリーナが誕生しました。2023年4月に群馬県の太田市にオープンした『オープンハウスアリーナ太田(太田市総合体育館)』は、太田市の公共体育館であると同時にBリーグ所属のプロバスケットボールチーム『群馬クレインサンダーズ』のホームアリーナ(本拠地)でもあります。

オープンハウスアリーナ太田(太田市総合体育館)

収容人数はB1リーグのライセンス条件を満たす5000人。「スモールクオリティ・アリーナプラン」というコンセプトで、人口22万人の太田市において最適な規模の地域共創型アリーナとして新たな街のシンボルとなっており、市民のためのスポーツ行事や式典だけではなく「プロバスケチームのホームアリーナ」という重要な使命を持っています。日本最大級の可動式センタービジョンやまるで劇場のようにコートが浮かび上がるライティングを備えています。国内のバスケットボール アリーナとして初めてL-Acousticsサウンドシステムを導入し、エンターテイメント性の高い演出で試合を熱く盛り上げています。

日本最大級の可動式センタービジョン

オープンハウスアリーナ太田にL-Acousticsが採用されたきっかけは、昨シーズンまで試合の演出を担当していた株式会社パワーボイスの代表 関氏が本場NBAの試合でL-Acousticsシステムのサウンドに魅了された体験から始まります。Bリーグで試合のMCも務める関氏は、アメリカのNBAの試合が開催される会場を数多く視察し、その中でL-Acousticsの音に特別なものを感じていました。
ショータイムや試合中に流れるサウンドは観客の熱量を上げ、コートの中にまで届く明瞭で迫力あるサウンドは選手を奮い立たせ、MCはその様子をつかみ取り会場を一つに束ねて盛り上げます。そのことを関氏は誰よりも知っていました。
そして、群馬クレインサンダーズのオーナーであるオープンハウスグループからシステムの相談をされた時に関氏はL-Acousticsを推薦しました。

その後、オープンハウスアリーナ太田に隣接する旧体育館でL-Acousticsの数機種でデモンストレーションが実施され、A15をメインにしたシステムが採用されました。パワーボイス 岐津氏はその時に聴いたA15の音を「置いてあったパイプ椅子が振動するくらいのパワーで鳴らしてもクリアに聴こえて耳が痛いと感じませんでした。」と語っていました。

スピーカーの採用が決まった後の、システムプランで重要視された事の1つは、大型センタービジョンのために生まれるデッドスペースを減らすことでした。観客やショーの盛り上がりを選手に伝えるためにはビジョン直下のコートに音を届ける必要があります。さらにはコートから2mの至近距離で大迫力の試合観戦ができるVIP席にも高品位な音を届け、会場全体に均一なカバレッジが求められたと、設計・施工を担当した株式会社アセント 蜂谷氏は語ります。

スピーカーの配置

各スピーカーシステムはコートを取り囲むように、対称に配置(上記図参照)されています。基本となるシステムは赤丸と緑丸の12ヵ所に配置されたA15i Wide x 3台で構成されています。赤丸箇所にはKS21i x 3台がエンターテインメント性を向上させるためそれぞれ追加され、カーディオイド構成により、天井面に対して低域がたまらないよう工夫されています。橙丸のA10i Wide x 2台がアリーナのコーナーをカバーし、青丸の上から2台A15i Focusと最下段のA15i Wideで構成されたクラスターがコート面をカバーしています。すべてのスピーカーはLA4XでドライブされLA Network Managerでコントロールと監視を行っています。LA4Xはアリーナ上部・キャットウォーク上、4か所のコーナーに5台ずつ、合計20台が設置され、スピーカーケーブルの長さが均等になるようにしてあります。

A15iWideとKS21i

A15iWideとA10iWide

A15iFocus(上段2台)とA15iWide

竣工から5ヵ月が経た時点での感想を伺いました。
「バスケットボールの試合は仮設のスピーカーシステムを使うことが多く、理想的な場所にスピーカーを置けません。大きな音を出すとスピーカーの近くにいる人からうるさいとクレームを受けたこともあります。このアリーナはバスケットボールの試合をメインで行うことが考慮されたスピーカーの配置になっています。どの場所で聞いても音量が均一で明瞭感があり、うるさいと言われたことはありません。」と岐津氏

「視察で来館される人のために音を出したりするのですが、音が良いと高評価をいただいています。このアリーナの大きさに合わせた調整がされていて、迫力も十分あります。」アリーナの施設長として管理運営を行う、株式会社群馬シティマネジメント 山田氏

「工事期間中はコロナ禍でさまざまな製品の入手に苦労をしましたが、L-Acousticsに関しては工期に遅れることなく納品され、無事工事を終了することができました。ベステックオーディオのスピード感とサポート体制は信頼できると思いました。私はL-Acousticsの音はよく知っていて、よく観に行くコンサートサウンドの重低音と、音を全身で浴びている感覚になることができます。この案件に関われて光栄に思います。」と蜂谷氏

左から、パワーボイス 岐津氏、サンダくん、群馬シティマネジメント 山田氏、アセント 蜂谷氏

10月5日から8年目のB.LEAGUE(Bリーグ)が開幕しています。選手の熱いプレイだけでなく、エンターテイメント性を高める設備が試合をさらに盛り上げてゆくことを実感させてくれました。取材にご協力をいただきありがとうございました。

オープンハウスアリーナ太田(太田市総合体育館)
〒373-0817 群馬県太田市飯塚町1059-1

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