千葉県東総文化会館 様の大ホールにL-Acoustics KIVA IIを中心としたシステムを導入いただきました
千葉県東総文化会館は、千葉県旭市に1991年に開館、多目的に利用できる900席の大ホールと302席の小ホールがあり、東総地域の文化的事業を発展させてきました。設計は、東京文化会館や東京都美術館を手掛けた前川國男建築設計事務所によるものです。
2022から2023年にかけ、大ホールがスピーカーとアンプの全体改修を行い、L-Acoustics KIVA II を中心としたシステムを導入しました。
この改修によって「会館の機材で大音量公演ができるホール」に生まれ変わった千葉県東総文化会館様に改修の経緯からL-Acoustics導入後の感想等をうかがいました。
まず始めに、1991年の開館から使い続けてきた音響システムを2023年のタイミングで更新された理由を教えてください。
音響システム更新の必要性をかなり以前から言っていましたがなかなか話が進みませんでした。すると2019年頃にスピーカーのMIDユニットがノイズを出し始めてしまいました。通常の運用だと分からないくらいでしたが、いつ音が止まってもおかしくないという状態で、大きな音圧をかけることもできませんでした。このことを県に報告したところ、更新の話が動き出しました。
「低音が止まらない」ということです。例えばテクノ系の低音だとドン、ドン、と切れ良く鳴ってほしいのにドーンドーンと流れて止まらない。男性スピーチにも同じことが言えて、低音域で何を言っているのか聴きづらい状態でした。
バックアップの購入から全体改修までに至ったストーリー
まずは本当に改修が必要なのかを関係者に理解してもらう必要がありました。ちょうどこのホールでL-Acousticsのシステムを試聴する機会があったので上の者(公益財団法人の方)にも同席してもらいました。不調なスピーカーと聴き比べをすることで「こんなにも違う」ということを分かってもらいました。
その次は予算の話になります。全体改修をすると予算が大きくなりすぎてしまうということで、まず先に、既存のスピーカーが使えなくなった時に代わりとして使えるシステム(X12 ×14、SB18 ×6)を購入しました。
サブウーハーのSB18を花道に置き、バトンにX12を2から3本をセンターに吊ってプロセ風に使えば、講演会やカラオケイベントなどをひとまず開催できます。全体改修後は、それらはモニタースピーカーとして使えるので無駄になりません。
はい。このような経緯でX12とSB18を導入したのですが、その翌年(2023年)に全体改修の予算が通ったのです。 X12を導入していたことで「次も同じブランドで」と話を通しやすかったです。
検討のためにL-Acousticsや他ブランドをいくつか集めて試聴会を行いました。他の同クラスのスピーカーと比較したところ圧倒的にX12が良かったので「これにしたい」と県に理由書を提出しました。
その後全体改修の予算が通り、L-Acousticsのラインアレイシステムにしたかったので、既存スピーカーが収まっている場所に収まることと、予算の面から検討し、KIVA IIがベストであると判断しました。
特にはありませんでした。システムの全体像が書面になった時に「こんなにたくさんの数のスピーカーはいらないんじゃないか」という話もあったのですが、実際に運用してみるとこれでよかったと思います。個人的にはもっとあってもよかったですね。
セッションファイルによるアンプの管理
前のは3U 2chのアンプで(アンプ間に1Uブランクを入れて)ラックが全部詰まっていたのですが、LA4Xは2U 4chです。スピーカーの数が増えたのでアンプの台数は増えていますが、スペースは3分の2くらいになりました。
アンプを監視しながら公演内容によって「スピーチ用」「カラオケイベント用」「全力で鳴らす用」というようにいくつかのセッションファイルを必要に応じて切り替えて使用しています。通常は、しっかりコンソールのメーターを振らせてもアンプで抑えてスピーカーに負担がかからないようにしています。
2階席まで「思った通りの音」に
良くなりましたね。「当然こうなるはず」という思惑どおりです。明瞭度が上がり、スピーチも劇的に良くなりました。以前とは全然違うものです。特に2階席がとても良くなりました。
それまでは1つのツイーターで1階客席の後方から2階席までまかなっていたので、2階席は1階席の音が漏れ聞こえていたような状態でした。それが今回はしっかりとスピーカーを向けてちゃんと調整もしています。これで2階席の音は明瞭度が上がり、それまで聴こえなかった音をフラットに届けられるようになりました。思った通りの音です。
カラオケイベントに出ているみなさんからも「音がきれいになったね」と好評です。
L-Acousticsシステムが地域の文化の可能性を広げる
クラシックなどアンプラグドなものと、演歌のコンサートで同じくらいの割合です。たまにロックのライブなど大きな音量が必要なものがあります。
はい。これは公募によるコンサートで、オペレーターは主催者が選んだ方がいらっしゃいます。本番はホールの常設システム(KIVA II ×26とSB15m ×9)に、始めに購入したSB18を加える予定です。
そう思います。主催者やお客様の「あのホールは良かったよ」という話が広がれば、企画の応募も増えるかもしれませんね。
これまでコンサートを開催するには音響屋さんに4tトラックでスピーカーを持ち込んでもらわないといけませんでしたが、今では「うちにあるもので問題無いよ」と言えるようになりました。こうなることで費用が抑えられます。主催者さんにとってはコンサートの予算が3分の1くらいになるのではないでしょうか。
そうですね。そうなってほしいです。間近にミュージカルの公演もありますし、今後は地元の学生バンドのイベントなんかもやってみたいですね。
一般応募のイベントの開催にも積極的な東総文化会館は、東総地域の文化発展の要と言っても過言ではない施設です。L-Acoustics KIVA IIを中心としたシステムの導入によって、常設システムで開催できる公演内容の幅と共に、地域の文化事業そのものの可能性まで広がったのではないでしょうか。地域のみなさんによるこれまで以上のホールの利用と東総地域の文化発展を期待します。
固定設備(2023年) | |
プロセニアム | KIVA II ×10、SB15m ×3 |
サイドL&R | KIVA II ×16、SB15m ×6 |
インフィル | X15HiQ ×2 |
ステフロ | 5XT ×6 |
アンプ | LA4X ×8 |
移動用(2022年) | |
スピーカー/ウーハー | X12 ×14(うち2台が固定ハネ)、SB18 ×6 |
アンプ | LA4X ×5 |
千葉県東総文化会館
〒289-2521 千葉県旭市ハ666
https://www.cbs.or.jp/toso/