Bunkamuraは1989年に渋谷に誕生した日本初の大型の複合文化施設です。コンサートホール(音楽)、劇場(演劇)、美術館(美術)、映画館(映像)の各施設をはじめ、カフェやアート関連ショップなどからなるクリエイティブな空間は、オープン以来、新しい文化の発信基地として常に注目を集めています。
その文化施設の中にある、総客席数2,150席、日本初の大規模シューボックス型ホールの「オーチャードホール」が2011年の後半に大規模改修工事を行い、スピーカーシステムとしてL-Acousticsを採用いただきました。

使用いただいているシステムは次のとおりです。
サイドシステムとしてL-Rそれぞれに、KUDOが6台、SB18iが3台、その補助として115XTHiQが1台。
センターシステムで KARAが12台。
効果的なシステムとして客席上空のほぼ真ん中に115XT HiQが4台。
さらに3階席をカバーするために12XTが4台。
そして、左右のバルコニー席や2階のバルコニー下をカバーするために8Xtiが13台(左右のバルコニーのための8Xtiはホワイトヴァージョン)。
ステージフロントシステムで8XTが2台使用されています。これら全てのスピーカーシステムはLA4/LA8アンプリファイドコントローラーでコントロールとドライブを行っています。

 

 
 
 

 

リニューアルオープンから数ヵ月後、音響オペレータ・チーフである、石川氏を、音響プラン設備工事を担当された株式会社エスシーアライアンス・サウンドクラフトエンジニアリング社 涌井氏と共に訪ね、お話を伺いました。



以下、石川氏のコメント:
過去、SRカンパニーがARCSを持ち込む事があったのですが、その時の音を聞いた印象が、機械的でなく自然な感じがしました。また、このホールの演目はクラッシク音楽が多く、オーケストラの再生を行う事があるのですが、生音とスピーカーから再生される音が違和感なく混ざり合ってくれそうな気がしました。最終的に、幾つかのメーカーのスピーカーシステムを持ち込んで比較試聴を行ったのですが、音の密度というか映像的に例えると解像度が高いように感じましたね。頭の中で、イメージした音がそのまま再現されていたのも、L-Acousticsに決定した理由の一つです。

今まで、ポイントソースのシステムを使用していましたが、L-Acousticsのラインソースアレーに変えて、会場内全体の音圧が均一になり、位相干渉が少ないからなのか、音の分離感が良く、楽器の輪郭がはっきりと聞き取れるようになりました。またSRカンパニーが、スピーカーシステムを舞台上に持ち込みたいと要望があった時に、サイドスピーカーにKUDOが導入された事を説明すると、システムを持ち込まずにKUDOを使ってもらえるようになりました。その結果ステージ上にスピーカーシステムが無いので、その分舞台を広く使う事ができたり、また客席から舞台が見えなくなる席が無くなるので、その分チケットを販売できたり、演出的にも制作的にもメリットが生まれました。

海外から来日する公演で、このホールが使用しているシステムの問い合わせがあるのですが、世界的にL-Acousticsの信頼性が高いからか、L-Acousticsを使用している事を伝えると、「何の問題もない、素晴らしい」という返答が返ってきます。

日本のホールは、スピーカーを剥き出しで設置できない事が多く、条件としては非常に厳しいのですが、そのような条件でも、素晴らしい結果を得られてとても満足しています。



以下、涌井氏のコメント:
最終的には、オーチャードホール様が選定したスピーカーと言う事が前提ですが、出音がホールに馴染む事をポイントとして、最初に幾つかのメーカーを選択しました。比較試聴の際に、L-Acousticsの音がオーチャードホール様には最適だったと思います。

サイドスピーカーのKUDOをホールのデザインの関係で、剥き出しではなく部屋に納めなければなりませんでした。その部屋の客席側の壁の角度がきついため、そのまま設置をしてしまうと、KUDOの向きが会場の内側に向き過ぎてしまう事になります。また部屋の大きさがKUDOシステムの収まるサイズぎりぎりでした。部屋内に入れなければならないという観点からは小ぶりなシステムにした方が施工的にはもちろん楽だったのですが、その問題を解消するためにKUDOシステムが、部屋の中で前後に移動する特別な架台を設計しました。状況によりシステムを前後に移動でき、KUDOを外側に向ける事が出来るようになりました。

現在はクラッシックホールとしての基本運用の中で、サイドスピーカーに関しては今後増えてくるであろうダイナミックな音圧感が求められる演目にも対応できるように、キャパシティーがあり表現力が豊かなシステムという事がKUDOを選択した大きな理由となっています。
KUDOは水平の指向性が可変できるので、部屋に設置した場合でも余計な反射音が少ないのも良い点のひとつですね。


オーチャードホールのご案内
http://www.bunkamura.co.jp/index.htm