2025年2月
アイダホ州にあるボイシ州立大学は、アメリカで初めてグリーン・フィールドの代わりにブルー・フィールドを持った学校です。同校のアルバートソンズ・スタジアムのフィールドの有名な青い芝生は学校のBroncosフットボール・プログラムの特徴のひとつです。会場のもう一つの特徴は、スタジアムの隅々までクリアなサウンドを届けるパワフルなL-Acoustics K2システムによるコンパクトなソリューションです。ソルトレイクシティに本拠を置くPoll Sound はL-Acousticsアプリケーション・チームと密接に連携し、既存のスコアボードの構造に合わせてソリューションを設計し、2024-2025年の大学フットボールシーズンに間に合うようにシステムを立ち上げました。

「このスタジアムはデザインと建築の面では、典型的な大学のスタジアムです。」とPoll Soundの AVシステムデザイナー兼プロジェクトエンジニアであるブライス・ステットラー(Bryce Stettler)氏は語ります。「しかし、前年に設置されたスコアボードに音響用のウィングが左右に設置されており、それらの既存のスペースで可能な限り最高のサウンドシステムを設計・設置するという課題をもたらしました。ありがたいことに、L-Acoustics K2とKara IIという素晴らしいコンポーネントと、L-AcousticsのエキスパートとSoundvisionソフトウェアによる素晴らしいサポートを受けて、このパズルを見事に完成させることができました。」


新しいシステムは、7台のK2による4つのアレイと9台のKara IIによる2つのアレイに加えて、片側4台のKS28によるフライングシステムで構成されたステレオデザインです。スコアボードの下に、3台のA15iによる4つのアレイがフィルシステムとして配置されており、さらに3台のA10iによる3つのアレイがスコアボードからカバーされていないコーナー席に対応します。アンダーバルコニーディレイは、スタジアムのバルコニー下に沿って配置された27台のA10i Wideが提供しています。メインとフィルスピーカーは15台のLA7.16iアンプリファイド・コントローラによってドライブされる一方、2台のLA12Xがサブウーハーをドライブします。すべてのアンプリファイド・コントローラはそれぞれ異なる場所に設置された合計4つのアンプラックに納まっています。システムはP1プロセッサによって管理されており、アンプラックの間でオーディオ分配を合理化させるために10台のLS10 Avnu認証AVBネットワークスイッチで接続されています。

「スコアボード左右のそれぞれのスペースは、高さ3mくらいととても狭くて、メインアレイに活用できる空間が非常に限られていました。」と、Poll Soundエンジニアリング・マネージャーであるニール・イェイツ(Neil Yates)氏は説明します。「デザインしてきたほとんどのスタジアムでは、高さがもっとあったのでより大きなラインアレイを指定でき、低域の制御がやりやすかったです。一方、今回スコアボードの構造の関係で、高さ最大3m程度のアレイしか吊れませんでした。それでも、スピーチの明瞭度と到達距離の要件を満たさなければならなかったので、少し苦戦しましたね。」

ステットラー氏曰く、L-Acousticsの積極的なサポートは救いとなりました。「L-Acousticsからデザインにおいて貴重なサポートを受け、そしてSoundvisionに思う存分頼り切りました。Soundvisionはカバレッジの評価にあたって、明瞭度、精度、カバレッジの均一性の確保に必要不可欠なツールとなりました。Kara IIは アッパーボウル席に最適なソリューションでした。明瞭度や周波数特性を損なうことなくアッパーボウルの一番遠い席まで均等なカバレッジを提供してくれます。しかし、このプロジェクトの主力はK2でした。K2は本当にサウンドが必要なところへ届けてくれます。このプロジェクトに最適でした。このエンクロージャのパワーと長距離にわたってそれを維持できる能力のおかげで、ロングスローの距離でもうまく機能することに感銘を受けました。」

イェイツ氏によれば、K2とKS28の組み合わせが、音楽のサウンドトラックや、フィールド上の状況を実況するアナウンサーを助け、スタンドのファンにフルレンジのサウンドで試合を映し出しているとのことです。実は、音声明瞭度を評価する測定単位「STIPA」(Speech Transmission Index for Public Address Systems)で0.8と高い値を達しています。「素晴らしい評価ですが、K2が最も優れている分野はライブ音楽とプレーバックの再生です。インパクトのあるフルレンジとパワーを必ず実現してくれます。」

新しいサウンドシステムは、スタジアムの内外で試合当日の体験を一変させたということです。「ここで達成できたことは素晴らしい。」とボイシ州立大学アスレチックス部の運営・ガバナンス担当シニア・アソシエイト・アスレチック・ディレクタであるネイサン・バーク(Nathan Burk)氏は語ります。「前のシステムは、すべての座席に音を届けるために非常に大きな音量が必要だったのですが、会場内で不快なリスニング体験を生み出すうえに、キャンパスの近隣住民に迷惑をかけていました。今は、近隣に配慮しながらも、ファンを試合に没頭させるクリアなサウンドを実現できるようになりました。スタジアム内のどこに座っていても、アナウンスをはっきりと聞き取れ、雰囲気を楽しむことができます。しかも、それを今まで以上に正確なオーディオ・コントロールでこれを実現しています。」


ステットラー氏は、スコアボードのデザインによる限られた設置場所で、サウンドシステムが達成したパフォーマンスは偉業であると述べています。「妥協することなく、全てを一体化させることが目的でした。見た目も最高だし、音も最高です。L-Acousticsならではの素晴らしい効果です。」