パンゲアはグラストンベリーフェスティバルでファンの視覚と聴覚を魅了
トップ画像 Ⓒ Lukonic Photograpy Arcadia SpectacularはL-Acousticsを使って壮大なショーを繰り広げました。
2019年8月
地球を周回する月をモチーフにした魅惑的な3Dプロジェクションマッピングショー、花火と空に向かって打ち上げられる巨大な炎のボール、円形野外会場の真ん中にあるプラットフォームで、L-Acoustics Kシリーズシステムの音を浴びる60,000人の観客の前で演奏するのは伝説のDJ達…。それはパフォーマンス集団「Arcadia Spectacular」によるグラストンベリーで開催された壮大な最新インストレーション「Pangea」(パンゲア大陸)です。
彫刻、建築、リサイクル、花火、照明、サーカス、音楽を通じて、世界を旅する大規模なパフォーマンスとダンス空間で表現するパフォーマンスアートの集合体であるArcadiaにとって全てのコンセプトは、新しいものではありません。2007年以来 同社の作品は、グラストンベリーで常に話題となっています。過去10年間、ワージー・ファーム(会場となる、グラストンベリーにある農場の名称)を飾ってきた象徴的なクモをやめる決定がされたとき、Arcadiaチームは、会場が円形のスペースであり、L-Acousticsシステムが採用されることを知りました。
<Arcadiaは常にリサイクルの材料を使用したデザイン行い、見つけた廃材からそのアイデアを導き出します。パンゲアも例外ではありません。ブリストルのエイボンマウスドック(ブリストル港)で高さ50メートル、重量140トンのクレーンを見つけたことが、この創造的革命(creative revolution)のきっかけになりました。「ロシア軍のスクラップ置き場を探し回り、他にもたくさんの場所に行きましたが、結局私たちはすぐそばにあるサマセット州の産業遺産でこの特別なシンボルを発見しました」と、Arcadiaのサイラス・ボゾルグメール氏は言います。「使われなくなった地域の歴史を代表する物を、サマセットの別の環境で新しい象徴にするというアイデアがとても気に入りました。」
チームはクレーンそのものが非常に興味深い構造物であり、センターピースとしての役割以外に、以前より高い位置に移動できる能力があることに気づきました。「パンゲアはグラストンベリーのワージ―・ファームだけで開催されるので、ツアーリングの物流に関して心配がなく、より大規模な現場を与えてくれ、さらに大きく、空にも届くような高いものを作ることが可能になりました。」と、ボゾルグメール氏は続いて述べます。「私達は観客に、別世界に足を踏み入れてほしかったのです。パンゲアとは地球上のすべての土地が1つで繋がった、先史時代の超大陸で、全方向から聞こえる音楽を全身に浴び魅了されることです。「イマーシブ・エクスペリエンス」(没入型体験)という言葉は、ビジネスで最も使われている用語の1つですが、それは間違いなく私たちが目指しているものです。誰もがアリーナの正面を見ている従来のステージは私たちが目指していたものと正反対だったため、結果的にステージは円形になりました。」
プロジェクトはフェスティバルの約6か月前に始まり、チームは複数のオーディオデザインを作成しました。「私たちはL-Acousticsサポートチームのセルゲイ・ベッカー氏と連絡を取り、設計の進行についてフィードバックをもらいました。」と、Arcadiaのプロダクションマネージャー、ドリアン・キャメロン=マーロウ氏は言います。「私たちは今までやってきたこととは違うことをしていたので、コンセプトをより多くの人と話し合うほど素晴らしい結果が出ることは分かっていました。」
彼らが直面した最大の課題は、サラウンドサウンドを提供するために、スピーカーを構造物の周りに吊るためのブラケットを設計し製作することでした。「このシステムは、社内のシステム設計者であるマット・ハウス氏によって設計されました。彼はビジョンの説明を受けた後、チームと協力して設計を完了しました。」とキャメロン=マーロウ氏は加えて述べます。「ファンたちを包むようなサウンドシステムの設計はかなり先駆的であり、業界が長年取り組んできたことをさらに進化させたものです。」
「私たちは現在ほぼL-Acousticsだけを使用しており、並はずれて素晴らしいと感じています。L-Acousticsは制限を感じさせない最良のシステムであり、サウンドを提供したくない、エリア外の騒音問題を引き起こさず、より高品質のサウンドを実現し、高いレベルを維持することを可能にします。また、Soundvisionでシステムをモデル化できるということは、システムをインストールする前に得られる結果を確認できるということです。時間と労力をかなり節約できます。」
Britannia Row Productionsによって設置された最終デザインは、6台のK2による内に向けた8ハングと4台のKS28サブウーハーのメインタワーシステムで構成され、20台のARCS IIによる外に向けたハングがクレーンに搭載されました。8台のX12と8台のKS28がクレーンの下をカバーし、フィルスピーカーは、それぞれ11台のKaraによる3つのハングでした。システム全体は、12台のLA12Xアンプリファイド・コントローラーによってドライブされました。DJモニタリングは、4台のARCS IIエンクロージャー、4台のSB15サブウーハー、4台のX15 HiQモニターで構成されていました。
「フェスティバルの約3か月前にBrit Row(Britannia Row Productions)に依頼しました。専門会社として業界のリーダーであることもあり、彼らと仕事をしたかったのです。」とキャメロン=マーロウ氏は説明します。「私たちは目標の明確なアイデアを持っていましたが、Brit Rowはそれを達成するために、いくつかの最適なソリューションとアイデアを提案してくれました。」
「Arcadiaチームは非常に創造的で前向きな考えを持っているだけでなく、非常に実践的でもあります。」と、Brit Rowのマーク・ソーム氏は加えて述べます。「彼らはこれまでのステージの開発で長年にわたってオーディオアプローチを改良し、これは実証済みのモデルであったため、2019年も同様のアプローチを維持することを考えていました。
「パンゲアはArcadia Spectacularとの新しいパートナーシップの素晴らしいスタートになりました。チームと一緒に仕事ができて嬉しかったです。また、言うまでもなく、L-Acousticsの手助けと継続的なサポートもとても貴重でした。Arcadiaクリエイティブチームが可能性の限界をさらに広げるにつれて、パンゲアのプロジェクトがどのように発展していくかが楽しみです。」
「これまでの中で最高のサウンドのショーだったというフィードバックがありました」とボゾルグメール氏は語ります。「一般的に言うとL-Acousticsの採用での経験は、スケーラブルで拡張可能な一方で、私たちの目標を達成できる最も柔軟なシステムであるということです。今後数年にわたってコンセプトを進歩させていく中で、このシステムとBrit Rowは私たちのビジョンをサポートし続けることができることを意味します。」