L-Acoustics A15システムが、トロントのハーバーフロントセンター・シアターを次のレベルへと進化させる
Photo Credit: Brian Medina
この多目的スペースでは、会場独自のプログラムやイベント用途と同様に多目的で柔軟なサウンドシステムが必要でしたが、L-Acoustics A15だけが適応しました。
2022年8月
ハーバーフロント・センター・シアター(HCT)は、トロントの芸術的な海岸へ訪れる人々を誘う文化の灯台のようなもので、街のシンボルである象徴的なウォーターフロント公園にある宝物です。通常の構成でわずか350席しかないこの劇場は、セリーヌ・ディオンやフリオ・イグレシアスなどの一流のアーティストによるパフォーマンスや、ミュージカル『STOMP』などトップの演劇公演に加えて、クインシー・ジョーンズ、フランク・ゲーリー、スティーブン・ソンドハイムの出演をフィーチャーした2001年の『World Leaders: A Festival of Creative Genius』を主催しました。HCTは、他にも音楽、ダンス、演劇やスポークンワードなどのイベントを開催し、現在それらすべてに対応できるサウンドシステムを備えています。このシステムはトロントに拠点を置くEngineering Harmonics によって設計され、Solotechによって2021年後半にインストールされた新しいL-Acoustics A15システムです。
会場の新しいPAは、L-C-R構成でフライングされた19台のL-Acoustics Aシリーズによるものです。左右のアレイに7台のA15Focus、中央に4台のA15 Focusと1台のA15 Wide、さらに左右のメインアレイの後ろに片側3台のSB18mサブウーハーが使用されています。ステージリップには4台の同軸X8がフロントフィルとして配置され、ステージ両側にはKS21サブウーハーの上にA15 Wide1台ずつがデッキフィルとLF補強するために配置されています。合計30台の超小型5XTは、3階席全てにサイドフィルを提供し、中央に吊るされた1台のA15 Wideはバルコニー上部にディレイフィルを提供します。8台のLA4Xアンプリファイド・コントローラーがメインアレイに、4台のLA2Xiがサイド/バルコニー・フィルスピーカーに使用されています。
この会場は350席のプロセニアム構成から、2つのバルコニーと3つのロビーを備えた最大422席をラウンド内に収容する様々な客席の構成に変化させることができるため、システムには柔軟性が要求されています。そのため、サウンドシステムは、会場が立見と着席のハイブリッドモードとなっている場合はアップステージに、通常の着席モードの場合はダウンステージに移動できるよう、再構成可能であることが求められました。さらに、この会場は音響的に非常に難しい空間で、狭く、反響や反射が起こりやすいため、サウンドシステムは非対称な スピーカー配置にも対応する必要がありました。
「この劇場は非常に狭いシューボックス型の劇場なのですが、様々な機能を果たす必要があるため、サウンドシステムは非常に柔軟でなければなりませんでした。」とHCT制作ディレクターのジェイミー・ロドリゲス(Jamie Rodriguez)氏は言い、A15の高い指向性能が正しい選択であったと指摘しています。「私たちは、ここの柔軟な座席の構成に合わせてフォーカスを合わせることができる、非対称な形状のスピーカーを必要としていましたが、A15は文字通りそれができる市場で唯一のスピーカーなのです。」
Rodriguez氏は、A15は客席の構成によってアップステージやダウンステージに配置されてもそのフォーカスを維持することができ、アーティストが迷わない最先端の、ライダー適応性の高いPAソリューションを提供することができると付け加えます。「アーティストがここに来れば、それが世界クラスのPAシステムであることを分かってくれます。また、非常に柔軟なシステムでもあります。例えば、L-Acousticsに期待されるように音楽には驚異的なサウンドを提供しますが、文学イベントである『The Author’s Box』のようなスポークンワードのイベントにも非常によく適応しています。そして、アンダーバルコニーのX5スピーカーは、すべての音節とニュアンスをすべての座席に伝えてくれます。」
Engineering Harmonicsのシニアコンサルタント兼パートナーのマーティン・ヴァン・ディーク(Martin Van Dijk)氏は、音響とプログラムの両方のニーズに対応できるサウンドシステムを見つけるという点で、この会場の形状が設計と設置の主な課題であったと説明します。「この会場は狭いけれど高さもあり、バルコニーが周りを囲んでいて、一階席も立見席、時には傾斜した座席と、自由に構成を変更できるようになっています。プログラムによっては、着席している観客全員に音を届けるために、バルコニーの立ち席にいる観客に大きな音が当たることがあります。しかし、そのスペースに誰もいないと、エネルギーが背後のレンガの壁に当たって不要な反射を起こすのです。これは難題でしたが、A15のパンフレックス非対称機能が、それを解決する手段を与えてくれました。非常に狭い空間なので、空間の明瞭度を保ち、側壁からの乱反射を抑えるためには、70度の水平指向性を持つ機材が不可欠でした。」
ヴァン・ディーク氏は、A15の帯域幅がフルレンジであることも選択の理由の一つだったと付け加えます。ダンスなどのイベントにはサブウーハーを使いたくない場合もあります。「A15のフルレンジ性能は、サブウーハーを使用しなくとも特定のイベントで望ましいローエンドを得られることを意味します。」と言います。さらに、システム全体を上下方向に移動させることができるほか、スポークンワードなどのイベントにセンタークラスターを単独で使用することも可能です。「左右のクラスターを下ろしてシステムの外形を変更することで、舞台を開放的にすることができます。L-AcousticsのL-ISAシステムのようなイマーシブサウンドを追加する場合にも、舞台近くのスペースのどこにでもシステムの各パーツを移動できる柔軟性が役に立ちます。」
最後にヴァン・ディーク氏は、L-Acousticsを選択するもう一つの利点を挙げています。「主なサウンドシステムメーカーは、それぞれ得意とする音や操作方法がありますが、L-Acousticsが最も得意とするのは、製品間の音色に差が無いことです。今回、いくつかの異なるシリーズのスピーカーが使用されていますが、全体的にサウンドが完全な一貫性を実現しています。素晴らしい作品のように、すべてのパーツが一体となって、完璧で隙のない全体を形成しているのです。」
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