2019年1月

ジョニー・マー『コール・ザ・コメット』ツアーの最後のパフォーマンスは、L-ISAイマーシブ・ハイパーレアル・サウンドによってEartHのスペースに広がりました

イギリスで最も作品の多いソングライター、プロデューサー、コラボレーターの一人であるジョニー・マーは、4枚目のソロスタジオアルバム、『Call the Comet』のツアーを行いました。2013年のデビューアルバム以来、元ザ・スミスのリードギタリストは輝かしい ソロキャリアを築いてきました。ヨーロッパのライブ会場で初めてL-AcousticsのL-ISA Immersive Hyperreal Soundテクノロジーを常設した、ロンドンにあるEartH(Evolutionary Arts Hackney)で、売り切れになった英国ツアーの最後のショーを、見事なパフォーマンスで繰り広げました。

ジョニー・マーのFOHエンジニアであるRuss Miller氏にとって、ここが L-ISAとの初めての出会いとなりました。彼はショーレポートでとても熱心に語ってくれました。「L-ISAに感銘を受けました。セパレーションは信じられないものでした。でも、別々の音源のようには感じません。サウンドチェックでバックラインのテックは驚いていました。会場の周りを歩いた人たちも聞いてもらいました。サウンドは会場の至るところで同じように聞こえていました。」

EartHサウンド・エンジニアのAlessandro Melchiorから事前に連絡を受けたMiller氏は、ショーの前日にバーチャルサウンドチェックツールを使用し、わくわくしました。「新しい技術を恐れてはいけません」とMiller氏は言います。「好奇心を持って、その新技術で何ができるのかを試すべきだと思います。」

 
 

L-ISAイマーシブ・ハイパーリアル・サウンド・テクノロジーは、空間オーディオプロセッシングを使用して、パフォーマンス・スペースの中に最大96個のサウンドオブジェクトを3次元に配置します。EartHのL-ISAフロントシステムは、7台のKaraによる5つのハングと、Karaの前上方にエンドファイア構成でフライングされた4台のKS28のセンターサブシステムで構成されています。そして、フロントフィルとしてステージリップに沿って10台のX8が配置されています。サラウンドシステムは、左右と後部の壁に沿って配置された各側4台、合計12台のSyvaで構成されました。また、天井に8台のX8のオーバーヘッドシステムも配置されました。

Miller氏は、L-ISAを最大限に活用し、ショーをオブジェクトベース・ミキシングにすることにしました。「ステレオのショーでは、入力およびプロセッシングの面から、キックとスネア、ベース、リードボーカルをミックスの中心に置きます。リードボーカルを広く感じるように、特定のエフェクトを使用します。そして、ギターとキーボードを左右の持って行き、ハース効果が発生するディレイキャビネットを使ってセンターのエレメントのためにスペースを空けます。スピーカースタックが遠く離れていてもモノラルとの互換性も得られます。言い換えれば、リスナーがどれかのキャビネットにより近い場合によく起きる「ギターが消える」現象が発生しない疑似ステレオが得られます。しかし、L-ISAでは、セパレーションを得るために面倒な手段を踏む必要がないことに驚きました。L-ISAでは、ボーカルをセンターにすると、ファントムセンターではなく本物のセンターになります。

『Call the Comet』ツアーでは、SDラックI/Oを共有するDiGiCo SD11コンソールを使用しています。この場合、Miller氏のFOH SD11はEartH 所有のDiGiCo SD12と接続されていたため、より自由に機材を活用することができ、L-ISAのをクリエイティブに使用することができました。DiGiCoコンソールはL-ISAソースコントロール機能をネイティブに統合していますので、Melchior氏にL-ISAコントローラソフトウェアでサポートをしてもらい、Miller氏はコンソールによってパンニングを調整することができました。


Miller氏はジョニー・マーのセットをサイケデリックな瞬間にするために、L-ISAでサウンドオブジェクトをステージ上の物理的な位置に合わせて空間化することだけでなく、L-ISAの3次元プロセッシングを最大限に活用することにしました。「ジョニー・マーの新しいアルバムに、『New Dominions』という曲が含まれています。その曲の最中に、ベースとドラムのみが聴こえるブレイクダウンがあります。そしてジョニーが入ってきたときに、ディレイスローにピッチ変化を引き起こすためにディレイタイムを変えます。常套手段ですが、これはうまくいきます」 EartHでは、Miller氏はステレオディレイ出力を受け取り、それをFOHのコンソールに伝送し、そこでL-ISAのPan、Width、DepthおよびElevationパラメータを活用することができました。「それらのパラメーターを最大限に活用しようと思い、観客の上、後ろ、周り全体から再生してみようと思いました」とMiller氏は言います。「ジョニーはいつもトリッピーでサイケデリックな雰囲気が欲しいと言っていたんですが、これは信じられないほどうまくいきました。」

EartHでMiller氏は、L-ISAの大きいな利点は、最小限の労力で達成された本質的ではっきりした音質であると感じました。「しばしば問題を減らすために低域を処理しなければならないので、新しい会場に入ったらそのショーのために何を取り扱わなければならないか必ず考慮するわけです。だから、本当にうまく設定されたシステムに直面したとき、夢かと思ってしまいます。特別なことをしなくてもそのままですごいからです。」

EARTHはそれからの一歩前でした。もちろん、バランスが取れていましたが、フルレンジも感じました。サブウーハーは全く不自然な付加物に感じませんでした。逆に深い印象でした。そこには明確な表現がありますので、ベースとキックを分離する方が簡単です。今まで気付かなかったことを聞き取ることができます。」 さもなければ困難なスペースになったかもしれない部分は、複数の個別の物理的なフルレンジのソースは広いスイートスポットを作り出し、サウンドスケープに明瞭度をもたらし、ドライバーの負担を減らします。

「PAを使い始めてからたった4分後に、このシステムが長年の問題を簡単に解決することができることに気付きました」とMiller氏は結論として言います。「観客の耳を壊さないようサウンドレベルを下げながらも、オーディエンスを興奮させ、夢中にさせるようなものを作り出すには最強です。この技術は素晴らしい。絶対になくなることはなく、これからは標準になるのだろうと思います。」


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