ステージモニターは、L-Acoustics Xシリーズが担当。

2023年1月
1977年、ポーランド北東部の都市ウォムジャ市に成立したヴィトルト・ルトスワフスキ室内管弦楽団は、20世紀の作曲家・指揮者、ショパンに次ぐポーランド最大の音楽家であり、20世紀の最も重要なクラシック音楽家のひとりである作曲家・指揮者にちなんで名付けられました。長年にわたり様々な場所で2000回近い公演を行い、その芸術的業績と音楽文化の発展への貢献により数々の賞を受賞してきたウォムジャ楽団は、既存の会場を建て替え、音楽公演に最適な仕様に改修するという意欲的な取り組みに踏み切ったのです。その仕様には、L-Acousticsの包括的な最先端のスピーカーシステムも含まれています。

「私たちが選んだ建物は、かつて体育施設であったので音楽公演のために設計されておらず、ウォムジャ楽団がそれを利用できるように完全に改修する必要がありました。」と、ウォムジャ・ヴィトルト・ルトスワフスキ室内管弦楽団の総監督兼芸術監督のヤン・ミロシュ・ザジツキ(Jan Milosz Zarzycki)氏は説明します。「このプロジェクトは数年がかりで、大幅な構造変更を行い、さらにパンデミックの影響で開館が遅れました。」

ウォムジャ楽団のニーズに応えるために、屋根を作り直し、より重さに耐えるようにしました。 また、コンサートホールの内部は奥行きが深くなり、ホワイエは室内楽のための新しいコンサートスペースに生まれ変わりました。「建設が進むにつれ、新ホールの目玉となる音響システムの検討が始まりました。」とザジツキ氏は語ります。「クラシックの演奏はアコースティックであることが多いのですが、ポップミュージックのコンサートには完璧なSRシステムが必要でした。また、建築に溶け込むような、視覚的にホールを圧倒しないシステムを求めました。」

コンサートホールのシステムの様子。

コンサートホールのシステムの様子。

ワルシャワに本社を置くディストリビューターであるAudio Plus社は、このプロジェクトの主契約者として、複雑な再設計に必要なすべての技術要素の設計と調整を担当しました。オーディオ・プラス社は、ポーランド南部の受賞歴のあるカヴァティナホールなどL-Acousticsシステムを設計した経験があり、アコースティック音楽、電気楽器、ハイブリッドなど様々なコンテンツに適応しなければならないプロジェクトに、このブランドの迫力、明瞭性、柔軟性が必要だと確信していました。

「これは、私たちが専門としている音響システムだけでなく、舞台技術全体に対して、一から十まで取り組んだ設備の成功例です。」とAudio Plusのプロジェクトマネージャー、ロベルト・クキエウカ(Robert Kukiełka)氏は言います。「そのおかげで、アコースティックとの適応から機械、照明、音に至るまで、設備における様々な部分を調整することができました。私たちは、今後何年にもわたって世界クラスの設備を誇る施設を装備できたことを誇りに思っています。L-Acousticsの優れた評判と製品のポートフォリオは、ブランドをこのプロジェクトの目玉にしています。」

会場は、コンサートホール、ホワイエ、サウンドブース、レコーディングスタジオで構成されています。コンサートホールの音響設計は、SDST社による技術設計をもとに音響設計を担当した専門コンサルタントewkAkustika社が行いました。

コンサートホールのL-Acoustics Kiva IIハングとX12ステージフィルの様子。

コンサートホールのL-Acoustics Kiva IIハングとX12ステージフィルの様子。

L-Acoustics Xシリーズはフロントフィルシステム、ステージモニタリングシステムを担当。

L-Acoustics Xシリーズはフロントフィルシステム、ステージモニタリングシステムを担当。

左図:コンサートホールのL-Acoustics Kiva IIハングとX12ステージフィルの様子。
右図:L-Acoustics Xシリーズはフロントフィルシステム、ステージモニタリングシステムを担当。

「コンサートホールの音響を形成するために、いくつかの独自開発した製品が使用され、窓のないサウンドブースでは、エンジニアがホールの音声を直接聞くことができます。」と、ewkAkustikaの音響デザイナー、エヴァ・ヴィエンツコフスカ=コスマラ(Ewa Więckowska-Kosmala)氏は語ります。「第2の演奏スペースとなるホワイエも音響的に処理されています。」

コンサートホールのシステムは、2台のSB15サブウーハーの下に8台のKiva IIによる2つのハングと、床置きの4台のSB18サブウーハーで構成されています。6台の5XTコンパクト2ウェイパッシブキャビネットがフロントフィルとして、2台のX12ポイントソースキャビネットがステージフィルとして機能します。システム全体は5台のLA4Xアンプリファイド・コントローラーがドライブし、P1プロセッサーがMilan-AVBネットワーク・システムを駆動しています。オーケストラのモニタリングシステムは6台のX12と2台のX8コアキシャル・エンクロージャーと3台のLA4Xアンプリファイド・コントローラーで管理され、サウンドブースのモニタリングシステムは2台の108Pキャビネットで構成されています。

サウンドブースのモニタリングは、2台のL-Acoustics 108Pで構成されています。

サウンドブースのモニタリングは、2台のL-Acoustics 108Pで構成されています。

 L-Acoustics P1プロセッサーがMilan-AVBのネットワーク・システムを駆動しています。

L-Acoustics P1プロセッサーがMilan-AVBのネットワーク・システムを駆動しています。

左図:サウンドブースのモニタリングは、2台のL-Acoustics 108Pで構成されています。
右図:L-Acoustics P1プロセッサーがMilan-AVBのネットワーク・システムを駆動しています。

クラシック音楽の演奏では、ホールの響きに依存することが多いため、ハウスエンジニアは演奏する音楽の種類に応じて、SB15サブウーハーを使用するか、SB18を使用して低域をさらに増強することができます。P1プロセッサーは、会場の湿度や温度が変化すると自動的にシステムをチューニングし、異なる設定を素早く呼び出すことができます。

「私たちは、世界をリードするクラシック楽団にふさわしい理想的な美観と技術仕様を備えた会場を作るつもりでした。」とザジツキ氏は締めくくります。「新しいコンサートホールのオーディオシステムは、私たちの期待に応えるばかりでなく、それを上回るものとなりました。Audio Plus社の素晴らしいプロジェクトマネージメントに感謝しています。特に、L-Acousticsの導入がもたらす建築的な繊細さには、チームも絶賛しています。」

会場のL-Acoustics LA4Xアンプリファイド・コントローラー。

会場の外観。かつて体育施設でした。

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