2025年2月
文化遺産と最先端技術を融合させる動きの一環として、ポーランドの名高い民族歌謡舞踊団「Mazowze(マゾフシェ)」は600人収容の劇場を360°のイマーシブ型のパフォーマンス・スペースに変身させました。それは、ポーランド初のL-Acoustics Lシリーズのプログレッシブ・ウルトラデンス・ラインソース・アレイによるL-ISAテクノロジーとなります。「伝統の新たなサウンド」と名付けられたプロジェクトは、L-AcousticsによるL-ISAイマーシブ・ハイパーリアル・サウンドシステムの洗練されたソリューションを中心に、オーバーヘッドを含むあらゆる方向から届く音で観客を包み込み、今までなかった3次元の音響体験を提供することで匹敵できない明瞭さと深みでポーランドの豊な音楽の伝統に命を吹き込んでいます。

1949年に設立され、ポーランドを代表する文化遺産として世界的に称賛されているマゾフシェは、ポーランドの民族遺産を共有する使命において常に保守と革新を理念に取り組んできました。マゾフシェは繊細な衣装、伝統的な振付、音楽が数世紀にわたる文化遺産に敬意を表している一方、芸術のインパクトを強化する技術の進化を恐れずに取り入れました。Lシリーズ・スピーカーとL-ISAイマーシブ・テクノロジーを組み合わせた2024年の音響システムのアップグレードは新しい節目となりました。包括的なオーディオ・アップグレードは、会場のメインのコンサートホールとロビーの両方に及び、会場全体に渡って音質の高い体験を確保しています。巧みな構成により、マゾフシェのモットーである真正性を保ちながら、包み込むような音響環境で伝統的な民族芸術を新たな次元に持ち上げることができます。

プロジェクトはサウンド・ディレクタ兼エンジニアであるクシシュトフ・ポレシンスキ(Krzysztof Polesinski)氏がマゾフシェのクリエイティブ・サウンドディレクタのピオトル・プシェドボラ(Piotr Przedbora)氏と連携し指揮をとり、包括的な技術監査を行いました。L-Acoustics 最新のL2プログレッシブ・ウルトラデンス・ラインソースアレイ技術のイタリアでの試聴と徹底的な調査、厳格な入札の過程の結果、ポーランドのL-Acoustics公認ディストリビュータであるAudio Plusがこのプロジェクトを具現化させるよう依頼されました。

「我々の使命は、何度も一緒に仕事をさせていただいた音響デザイナー、故エヴァ・ヴィエンツコフスカ=コスマラ(Ewa Więckowska-Kosmala)氏が確立したサウンドデザインの原則を維持しながら、マゾフシェの素晴らしい伝統にふさわしいサウンドシステムを作成することでした。」と、Audio Plusマーケティング・ディレクタのパヴェウ・クーン(Paweł Kuhn)氏は語ります。「L-ISAテクノロジーは従来の音響の境界を打ち破るというよりも、境界を完全になくし、オーディエンスを完全な音の球体で包み込むような音響体験を提供し、これまで以上にポーランドの民族伝統を身近に感じさせます。 そして、これはL-Acousticsの最新製品である革新的なプログレッシブ・ライン・ソースL2Dを活用したポーランド初の導入でもあります。L-ISAと組み合わせることで、マゾフシェをまさに新しい次元に引き上げています。」

L2のスピーカーアレイに対応するため、4トンの天井遮音壁を改造するなど、設置に技術的な困難が伴いました。それに対し、ポレシンスキ氏はL-Acoustics Soundvisionソフトウェアを用いて、3次元の空間全体に音を正確にマッピングするよう複雑な音響アーキテクチャを設計しました。また、会場のロールバックチェアスタンド システムは、コンパクトに収納できるため、3ヶ月に及ぶ複雑な設置プロセスにおいて極めて重要な柔軟性を提供しました。

メインのコンサートホールのシステムは、L-Acousticsテクノロジーの緻密に構築されたネットワークにより、真の360°サウンドスケープを作り出しています。シーンシステムとして、L2Dによる7つのラインソース・アレイが配置されており、15台の5XTコアキシャル・スピーカーがステージ・リップに配置され、空間的なフロント・フィルを提供します。カーディオイド構成で配置された6台のKS21サブウーハーが、全体的にコントロールされた低域カバレッジを提供します。客席の周囲には21台のX8と7台のX15コアキシャル・スピーカー、左右には1台のX15と4台のX8、後方には5台のX15、さらにオーバーヘッドには13台のX8が配置され、サウンドデザイナーが個々の楽器や声を音のキャンバスのどこにでも配置できる立体的な音場が完成します。ステージ上では、A10X12、X8スピーカーがモニタリングを提供します。システムは、L-ISA Processor IIP1プロセッサ、10台のLS10スイッチ、11台のLA7.16アンプリファイド・コントローラで管理およびドライブされます。

会場のロビースペースにも、最適なカバレッジと美観を追求したL-Acousticsシステムが設置されています。ロビー上層には6台の5XT、2台のX8、1台のSB6iサブウーハー、ロビー下層には8台のX6iと1台のSB10iサブウーハーが設置されています。全てのコンポーネントは、建築とシームレスに溶け込むようにホワイトが選択されました。X6iスピーカーはL-Acousticsのマウントソリューションにより目立たなくなっています。ロビーシステムはLA4Xアンプリファイド・コントローラでドライブされています。

「劇場の新たなイマーシブサウンド環境は、伝統的な民族音楽の楽しみ方に変革をもたらしています。」と指揮者兼総支配人のヤチェク・ボニエツキ(Jacek Bonieck)氏は語ります。「テクノロジーは決して芸術性の魂に取って代わることはできませんが、その感動を劇的に増幅させることはできます。L-ISAテクノロジーを使えば、各ミュージシャンの演奏のニュアンスがサウンドスケープの中で完全にクリアになります。音を3次元の空間に正確に配置することで、演奏家と聴衆の間にかつてない親密さが生まれ、これまでにない方法で観客を感動させることができるのです。」

「このテクノロジーを使えば、リスナーはイベントの一部になれる一方、プロダクションにとってはまったく新たな可能性が開けます。ニュアンスがよりよく聴き取れるので各楽器をよりクリエイティブに表現させることができます。」とポレシンスキ氏は説明します。

「単純な技術的アップグレードを越えて、芸術的可能性の新たな領域に入りました。」と、プシェドボラ氏は加えます。「観客を音で完璧に包み込むことで、単にステレオを超えただけでなく、個々の声、楽器、ニュアンスを空間全体に正確に配置し、動かすことができる3次元の音響環境を作り出したのです。マゾフシェでは、ポーランドの豊かな音楽遺産をかつてない臨場感と感動をもって体験できる場を作り上げたのです。今、唯一の限界は、私たちの想像力です。」

観客は体験を「革新的」「素晴らしい」「今までの民族芸術パフォーマンスと比べものにならない」と高く評価しています。イマーシブサウンドがマゾフシェのショーの雄大さを保ちながら、もたらしたパフォーマーたちとの親密なつながりを感じない者はいません。