エレクトロニックミュージックアーティスト Moléculeは、パリの象徴的な会場で行われた、完全な暗闇の中での空間的ライブミックスで、ファン達を驚かせます

2019年4月

ロマン・ドラエー(Romain Delahaye)、別名Moléculeは、ロラン・ガルニエ(Laurent Garnier)とアルノ―・ルボティ二(Arnaud Rebotini)など多くの一流DJから絶賛されているエレクトロニックミュージックのプロデューサーです。
彼は、どんなに過酷な状況であっても、その場で音楽の制作を行うことを得意としています。その野望は単純で、エレクトロニックミュージックを新しいディメンションに持ち上げることです。

実際、2018年2月にリリースされた彼の最新アルバム、『-22.7°C』のすべては、グリーンランドの小さな漁村で5週間の滞在中に録音されました。
しかし、Moléculeはそれだけにとどまりません。彼はこの厳しい環境で録音されたサウンドをライブミックスコンサートに置き換えるため、技術的課題に取り組んでいます。

これには、イマーション感を得るための体験型技術と想像力豊かなショーデザインを取り入れることが必要になります。 それはアルバムのレコーディング状況を再現するために0℃以下のイグルーでショー見てもらうことを意味したり、聴覚をシャープにするために真っ暗な場所でパフォーマンスを楽しんでもらったりするかもしれません。技術面で、アーティストはL-ISAのイマーシブ・ハイパーリアル・サウンド技術を利用して、曲を忠実にかつ詳細に再生し、完全に空間化させ、音楽と雰囲気に包まれた本物の感覚を生み出します。

「パイオニアであることは厳しいものがあります。時間の共有と連携だけでなく、気軽に話を聞いてくれる、信頼できるパートナーと働くことが必要なのです。」と、ドラエー氏は説明します。ドラエー氏は、フランスの公共ラジオ放送局「Radio France」に勤めている、イマーシブ・オーディオに特化したサウンドエンジニア 、エルヴェ・デジャルダン(Hervé Déjardin)氏という信頼できるパートナーを手に入れました。プロデューサの野望に対応できる、ファンの音楽体験を最大限するソリューションを模索する中で、L-ISAの実行を薦めたのは、デジャルダン氏でした。

ロマン・ドラエーは、このパイオニア精神を、1984年創業以来のオーディオイノベーターであるL-Acousticsと共有しています。アーティストによると、L-Acoustics L-ISA Labsのチームは、彼の野心的な仕事によって発生する多くの技術的課題を解決するために非常に貴重なサポートを提供しました。

 
 

L-ISAのR&Dディレクターであるギヨーム・ルノスト(Guillaume Le Nost)を通じて、デジャルダン氏とドラエー氏は、L-ISAがパリのDJライブショーにイマーシブな感覚をもたらすことができることを見出しました。最初のやりとりの後、ドラエー氏とデジャルダン氏は、フランス、マルクシーにあるL-Acoustics本社に、ソリューションを試しに行きました。

彼らは、L-ISAコントローラーでL-ISAの空間化とオブジェクト・ベース・ミキシングで得られる創造的可能性をテストしました。実際、セットのために音楽を空間化することにおいて、Moléculeは単にさまざまなソースのバランスを調整することを超越しました。L-ISAを使って、 スネアドラムの音を観客の周りで一周するよう動かしたり、仮想で2枚の壁を作りこの間をピンポン玉のように音を跳ね返させるなど、ショーで繰り返される動きを音で表現するためのいくつかのスナップショットやオートメーションを作成しました。また、右側から音を再生し、左側に送り、中央で止め、目に見えない壁から跳ね返らせて、減衰させ、そして新しいサウンドを再生することなど、ランダムな音の動きを作るために、デジャルダン氏と協力しました。 L-ISAサウンドデザインツールの能力を考えれば、何でも可能になります。

2018年10月12日にパリのエレクトロニックミュージックシーンのランドマークであるRex Clubで、MoléculeのL-ISAライブミックスによるイマーシブ型体験をファンに初めて披露することができました。30年近くテクノミュージックに特化してきたRex Clubは、常に新しい考えを取り入れてきました。したがって、Moléculeがこのパリの名高い会場でイマーシブ型ライブミックスを世界で初公開するのは当たり前のことです。

その際、L-Acoustics公認プロバイダ「Melpomen」も、Radio Franceのチームと密接に協力しました。システムの中心的存在である、L-ISAプロセッサは最大96入力と64出力までを処理できます。Syvaのコリニアスピーカーを11.1のイマーシブ構成にしたおかげで、プロダクション・チームは均一なカバレッジと超高精度の空間化を実現することができました。 Syvaスピーカーの140°水平指向性は、比較的狭いスペースでのL-ISAの展開で、有効な特徴です。Moléculeの楽曲で一般的になっている低域は、2台のSyva Lowスピーカーで再生され、超低域は会場全体にわたって配置された4台のKS28サブウーハーで再生されました。Syvaシステム全体は数台のLA4Xアンプリファイド・コントローラーで、KS28サブウーハーは一台のLA12Xによってドライブされました。このパワーの配分により、ドラエー氏とデジャルダン氏は、『-22.7℃』の曲に存在するオーディオダイナミクスを再現することができました。また、二人はオーディエンスの真ん中で演奏することで、L-ISAで最適なリスニングエリアを達成することができ、ステージモニターの必要性がなくなり、彼らも自分のイマーシブ・セットを楽しみました。

Moléculeとして知られているドラエー氏(手前)とデジャルダン氏

当日 デジャルダン氏は、QL1コンソールでコントロールしたL-ISAコントローラーソフトを使用して空間化オーディオ・ミックスを管理しました。彼は、16のサウンド・オブジェクトそれぞれの位置と幅、そしてソース間の距離をリアルタイムで調整することができました。

ドラエー氏は次のように述べています。「L-ISAテクノロジーを使用することは、私の曲に新たなディメンションを追加しました。観客は今までの感覚的基準点を忘れなければなりませんでした。技術的な心配もなく、自分の演奏に集中することができました。結局、当初55分に予定されていたセットは1時間40分も続きました。このようなサウンドは初めての体験でした。」

オーディエンスから絶賛されたレビューは主に2つの側面に焦点が合わされました。一方は L-Acoustics製品が提供する高音質、もう一方は 空間化の正確さと働きはほとんどのリスナーにとって初めてのものでした。

デジャルダン氏は、L-ISAがもたらす新しい可能性を称賛しました。「France Inter ラジオのイマーシブ・オーディオ部署で働いている私は、L-Acousticsと私たちのDNAに強い類似性があることに気づきました。会場スペースの限界を押し広げることを常に心がけています。ステレオは素晴らしいが、それは空間化が提供できるもののほんの一部です。ただそこにとどまっているのはもったいないことでした。」そして、L-ISAのパフォーマンスに関する彼の意見はプロのものです。「明らかに、L-ISAとSyvaを組み合わせたイマーシブ・サウンド構成のセットは、空間化された美術的創造に高精度をもたらします。シンプルでとても効果的です。そのセットをクラブで演奏したのに、まるでスタジオにいるかのように聴こえました。」