L-ISA Hyperreal Soundテクノロジーは、ロシアの象徴的な劇場にオーディオの創造性をもたらします

2019年1月

モスクワ音楽劇場は、2012年の設立以来そのオリジナル作品と古典的な物語に一風変わったアプローチをした作品で数多くの評判を得ています。2018/2019シーズンに間に合うよう音楽劇場は、世界で最も人通りの多い広場の1つであるモスクワの有名なプーシキン広場にある、改築し一新されたロシヤ・シアターを新しいホームグランドにしました。この新しい会場の音響部門は、L-AcousticsのL-ISA Hyperreal Soundテクノロジーを最初に劇場固定設備として設置することで、劇場の創造的可能性をエキサイティングな新しいレベルに押し上げる絶好の機会を得ました。

劇場のレパートリーは、ドストエフスキーの『罪と罰』のロックオペラ プロダクションから『サーカスプリンセス』のサーカスの演奏とオペレッタの異なるミュージック ジャンルの融合、大人向けの『シンデレラ』の朗読まで多岐にわたります。芸術監督Mikhail Shvydkoy氏の指導によるその野心的で創造的な舞台は、世界の聴衆とトップアーティストを引き付けます。これからは、音響デザイン部門もオブジェクトベースの多次元ミキシングを利用し、現実的で明瞭なオーディオ・オブジェクトの位置特定を、Desk Link L-ISAをネイティブに統合するDiGiCo SD10コンソールによって行うことで、同様に創造力を生かすことができます。そのおかげで、監督はもっと芸術的に考えることができます。

劇場の音響部長、Maria Lenarskayaは、この新しいチャプターを、音響部門の技術革新意識の自然な進化として見ています。「この劇場は急速に成長しています。新しい作品は定期的に上演されていますが、私たちは毎年何らかの方法で前進するために、常に新しいことに挑戦しています。」

L-Acousticsを設置する前は、Lenarskaya氏と彼女のチームはすでにディスクリート ソースを試していましたが、従来の技術を使った コンソールの自動化とマトリックスシステムの限界を感じていました。「面白かったけど、簡単ではありませんでした。ミックスは骨の折れる作業になっていました。L-ISAの購入と設置により、今は、便利で直感的な方法でパフォーマンスに新しい色をもたらす機会がたくさんあります。すべてがつながっていて、芸術的なニーズに応じてすばやく変更することができます。」と説明します。

ロシヤ・シアターの改造計画は、移転の決定が決まった2017年8月に始まりました。以前は映画館として使用されていた既存の講堂は広すぎたために再構成され、新しい座席と通路が追加されました。新しい会場でのPAシステムの決定は、劇場の長年のパートナーであるStage Audioが担当しました。クライアントのクリエイティブな要求に加えて、最大限のオーディエンスカバレッジと正確なステージへの音像定位が優先事項となりました。いったんこれらのニーズが特定されてからL-ISAは明らかに最適な解決策であることがわかり、Stage AudioはL-Acousticsとロシア認定ディストリビュータ、Sonorussと共に、新しいL-ISA構成を設計し導入しました。

L-ISAは、各チャンネルにポストフェーダー、ポストプロセッシングの出力を伝送し、各スピーカーまたはスピーカーグループのためにシグナルフィードを作成します。これらのフィード (最大96のサウンドオブジェクト) は、L-ISAコントローラソフトウェアパラメータ (Pan、Width、Distance、Elevation、Aux Send) の組み合わせを介して、これらのオブジェクトを3次元サウンドフィールドに配置できるマルチコア空間オーディオ処理エンジンであるL-ISAプロセッサに送られます。


Desk Linkは、オペレーターが、直接劇場のDiGiCo SD10コンソールから、指定した L-ISAチャンネルのためにそれらのパラメーターのコントロールと、コンソールのスナップショットエンジンでそれらの保存/リコールを可能にします。複数のスピーカーハングが作る高解像度の3D音場内で、最大96個のオブジェクトの位置特定と移動する機能により、サウンドデザイナーは創造性を自由に活かすことができ、観客をより没頭させる、直感的な体験が可能になります。

モスクワ音楽劇場の新しいL-ISAインスタレーションのメインL-ISAシーンシステムは、ステージ上に9台のウルトラコンパクトKiva IIモジュラーラインソースによる5つのハングで構成されています。そのシーン・システムは、両側にフライングされた6台のKiva IIによる2つアレイからなる拡張システムによって強化されています。低い周波数は中央にフライングされた Kiva IIの両側に 3台のSB18サブウーハーによる2つのフライングによって提供されています。重要なことは、すべてのアレイはステージよりかなり高いところにハングされており、観客の視線を一切邪魔することはありません。

左右にスタックされた2台のX12多目的コアキシャルエンクロージャーがアウトフィルを提供し、ステージリップに沿って均等に配置された8台のウルトラコンパクト5XTがフロントフィルを提供しています。システム全体は、10台のLA4Xと2台のLA12Xアンプリファイド・コントローラーでドライブされています。

サブウーハーを中央に設置することで、会場の全幅にわたって音の面で大きな利点があります。「従来のLRシステムではなく、サブウーハーを中央にフライングしてL-ISAを使用すると、アレイのイコライゼーションに余分な作業を追加することなく、最適な配置を見つけるのが簡単になります。」と、システムを設定したL-AcousticsアプリケーションマネージャーのJulien Laval氏は説明します。「中央に低域を集中させることは、インパクトを最適に保ちながら、左右のサブウーハーの間の狭いコヒーレントゾーンの外側で発生する、コムフィルターによるサブウーハーキャンセレーションの問題を容易に解決します。

Stage Audioによると、完成したシステムは当初の目標を大幅に上回り、ローカライズされた高空間解像度なオーディオで、オーディエンスの90%をカバーし、現代のPAシステムの必要条件を見事に上回っています。ロシヤ・シアターのインスタレーション・プロジェクトリーダーを務めた、Stage Audioのジェネラルディレクター兼創設者 Andrey Akhromeev氏は、次のように述べています。システム設計から最終調整まで、プロジェクト全体が1年以内に完了しました。L-ISAは現在、劇場とそのサウンドエンジニアに、まったく新しいレベルのサウンドコントロールを提供しています。

「L-Acousticsは、このプロジェクトの重要性を正確に理解していました。システムの設計と調整に対するそのサポートは、素晴らしかったです。システムの調整と劇場スタッフのトレーニングはすべて8月19日に終わりました。ちょうどその翌日から2018年/2019年の新しいシーズンのリハーサルが始まりました。」

Lenarskayaによれば、新しいシステムは大幅にオーディオ品質の向上をもたらしたが、それは必ずしも劇場にとって最も重要な変化ではありません。「システム管理の容易さとサウンドの向上は重要ですが、この新技術の唯一の利点ではありません。既存のL-Acousticsシステムを拡張し、L-ISAハイパーリアルサウンドシステムを常設したことを嬉しく思います。それによりオーディエンスを驚かしたり、感動させたり、喜ばせたりし続けることができるでしょう。」

モスクワ音楽劇場は、2018年10月にオープンし、『ライフ・イズ・ビューティフル!』『サーカス プリンセス』『オールアバウトシンデレラ』『罪と罰』や『リバース』を含む、さまざまなプログラムが予定されています。L-Acoustics L-ISAのおかげで、新しいモスクワ音楽劇場は間違いなくその革新的で実験的な、高品質のレパートリーを、明るく魅力的な未来へと進化させるでしょう。