Pavillon Naftule Ⓒ Cedric Penet

2025年3月
レマン湖を見下ろすスイス・ローザンヌにオープンしたばかりのPavillon Naftule(以降パヴィヨン・ナフチュールと言う)は、L-Acousticsによる包括的なハイパーリアル・イマーシブサウンドでデビューを飾りました。 地域のコメディ・プロデューサであった故ピエール・ナフチュールに因んで名づけられた1200平方メートルの移動劇場は、コメディからミュージカルまで合計100のパフォーマンスを行い、30,000人の観客を集めました。2024年の年末から2月中旬までの間の、仮設舞台で同時に15人のアーティストを受け入れるというユニークな課題を克服するために、パヴィヨン・ナフチュールはL-Acoustics公認プロバイダーであるHypersonにコンパクトでありながらパワフルなAシリーズを生かしたL-ISAのイマーシブ構成を依頼しました。

Aシリーズが解決する移動劇場の音響課題
パヴィヨン・ナフチュールは半永久的な劇場であるため、斬新なソリューションを必要とした独特な技術的課題をもたらしました。解体可能な構造、高さ6メートルのステージ、そして季節限定の運用という制約から、跳ね上げ式の456席に一貫した音声の明瞭さを提供しながら空間的な精密性を保つことのできるシステムを必要としました。

「L-ISAを必要とした多くのプロダクションでの経験から、パヴィヨン・ナフチュールにL-ISAを導入することは当然のことでした。」と、Hypersonのコディレクターであるファビアン・シールド(Fabian Schild)氏は説明します。「ここ3年、Corbak FestivalでL-ISAのインパクトを体感してきたパヴィヨン・ナフチュールのテクニカル・ディレクタは、音質と美観の両面からL-ISAが最適な選択だったと確信していました。」

Pavillon Naftule Ⓒ Cedric Penet

リモートのプリプロのおかげでシームレスな導入が可能に
プロジェクトの導入プロセスで最も斬新なのは、プリプロダクションに対するHypersonのアプローチでした。リハーサル期間中、パヴィヨンはまだ建設中だったため、Hypersonのチームは本社のイマーシブ・デモルームで計画を進めました。

「リード・エンジニアのコラン・ロキエ(Colin Roquier)が、事前にオフィスからすべてのポジショニングとトラッキングを設定してくれました。」とシールド氏は語ります。「リハーサル映像を収録し、弊社L-ISAデモルームで再生し、わずか2日間でL-ISAのポジショニングをすべて完了させました。」このリモートのワークフローのおかげで、会場が竣工する前からミックスの精密な調整ができていました。

Pavillon Naftule Ⓒ Cedric Penet

Aシリーズによる360°のイマーシブ・サウンドシステム
メインシステムは2台のA15 Focusと1台のA15 Wideによる3つのアレイで構成されています。さらに、ステージ両側に2台のA10 Focusと1台のA10 Wideによる2つのアレイが配置されており、中央のアレイを囲む6台のKS21サブウーハーが低域を補強します。9台のX8が空間的なフロントフィルを提供します。全システムは2台のLA7.16と3台のLA4Xアンプリファイド・コントローラにてドライブされています。

このプロジェクトの特徴は、真の360°イマーシブ環境です。12台のX12コアキシャルスピーカーは観客席を囲み、イマーシブなサウンドスケープを作り出します。これにより、観客がどこに座っていてもコメディの一言一句を明瞭に聞き取ることができます。

「L-Acoustics Aシリーズはパヴィヨン・ナフチュールに最適なソリューションでした。 」とリード・サウンドエンジニアのティエルシー氏は語ります。「Aシリーズはコンパクトでパワフルなデザインを持ち、バランスの取れたサウンド分布を確保します。一方、L-ISAテクノロジーはミックスのすべての要素を引き立てます。空間的な精密性と音声の明瞭さが必要不可欠なミュージカルとコメディのパフォーマンスの両方において、L-ISAは観客が本当に楽しめるイマーシブなリスニング体験を生み出します。」

Pavillon Naftule Ⓒ Cedric Penet

L-ISA構成は移動劇場と共に移動可能
パヴィヨン・ナフチュールは、すでに次のフェーズを計画しており、2026年からスイスのフランス語圏各地への拡張を検討しています。会場とともにL-ISA構成も移動するように設計されており、新しいオーディエンスに最先端の空間オーディオ体験をもたらす準備が整っています。

「L-ISAは、パフォーマンスに対する観客の関わり方を一変させました。」と語るのは、パヴィヨンのテクニカル・ディレクタであるアラン・ブーン(Alain Boon)氏。「細部までこだわるコメディやミュージカルの場合、空間オーディオは体験を向上させるだけでなく、共感を呼ぶイマーシブな体験を提供し、アーティストとオーディエンスのつながりを深めているのです。」