ポズナンオペラハウスがポーランドの文化的風景にL-Acousticsのアンビエンス・アクティブ・アコースティク技術を導入
2024年2月
900人収容のポズナンオペラハウス(Teatr Wielki w Poznaniu)は、ポーランドの歴史的首都であるポーランド第5の都市、ポズナンにある重要な文化施設です。劇場の建築様式はポズナンの歴史を物語るものであり、単なるエンターテイメント施設にとどまらない、文化的意義のあるモニュメントとなっています。今日、世界初のL-Acoustics アンビエンス・アクティブ・アコースティック・システムをオペラに導入するなど、大規模な技術更新を経て、ポズナンオペラハウスは、教育活動や古典的なオペラ公演から現代的な舞台作品まで、さまざまなイベントを受け入れることができる多目的ホールへと進化を遂げました。
ポズナンオペラハウスは、100年以上にわたるポズナンのオペラシーンを象徴しています。オペラやバレエの古典から現代曲まで、魅力的で多様なレパートリーを誇り、現在の演劇のトレンドに基づき準備された作品を上演し、著名な演出家、指揮者、舞台美術家、振付家やソリストと協力しています。2021年と2023年には、権威ある国際オペラ賞を受賞したモニウシュコのオペラを大胆な演出で上演しました。欧州連合が共同出資するオペラ専用配信プラットフォームOperaVisionと協力し、ポズナンオペラハウスの上演作品は世界中の視聴者にストリーミング配信されています。ポズナンオペラハウスは、ポーランド有数の芸術機関であり、舞台内外で社会的統合、異文化間の対話、革新的なソリューションの推進に取り組んでいます。今年、同オペラハウスは、視覚障害者で新たな運動技能を使用するダンサーと協力して創作した『Swans』でFEDORA観客賞を受賞しました。
観客と出演者の両方の体験を向上させるための改修工事が 2021年に始まりました。アップグレードには、新しい油圧ステージ、照明の更新、音響の改良、L-ISAイマーシブ・ハイパーリアル・テクノロジーとL-Acousticsによるアンビエンス・アクティブ・アコースティック・システムの設置が含まれます。
ワルシャワを拠点とするL-Acoustics公認プロバイダーのAudio Plusは、この愛すべき会場の建築的な完全性を保ちつつ、観客を最大限にカバーし、多様なコンテンツ提供を強化する能力に優れたサウンドシステムの設計を任されました。
Audio Plusは、グランドシアターのチームの注目を集めた受賞歴のあるカヴァティーナ・ホールでのL-ISAインスタレーションなど、L-Acousticsとの過去のコラボレーションで成功を収めた確固たる基盤を持っています。
ポズナンオペラハウスは歴史的建造物に指定されているため、建築を変更するような音響処理は禁じられています。この難題を克服するため、Audio PlusはL-Acousticsと協力し、アンビエンス・アクティブ・アコースティックをベースとした解決策を提案しました。これにより、劇場は臨場感溢れるSRソリューションとなり、クラシックオペラから現代音楽まで、舞台上のパフォーマンスに合わせてボタン一つでルームアコーステックを調整することができるようになりました。
Audio Plusは、観客に自然で没入感のあるオーディオ体験を提供するため、360°L-ISAオーディオ構成の設計から始めました。この構成は、プロセニアム全体に広がる5.1システムから始まります。さらに62台のスピーカーが側壁と後壁、バルコニーの下に点在し、観客を音で包み込みます。壁掛け用のスピーカーは特注でワインレッドに塗装され、白いバルコニーの上や下に設置されるスピーカーは同じ白に塗装されました。12台のスピーカーは、天井に目立たぬように設置された音響的に透過性がある白いグリルの後ろに隠されており、さらに2台のスピーカーは、劇場の象徴である巨大な天井に取り付けられたシャンデリアの中に隠されています。
アンビエンス・アクティブ・アコースティックをイマーシブ・サウンド・セットアップに加えることで、この劇場は、会場の独特な音響に適応しながら、さまざまなショーに対応することができます。これを実現するために、天井には11本の小型マイクが隠されており、そのうち3本はシャンデリアの中にあります。これらは会場の雰囲気を捉え、アンビエンス・アクティブ・アコースティック・システムがその情報を変換し、さらに劇場に隠された20台のスピーカーを通してフィードバックします。初期反射から後期反射までのディレイと残響は、必要に応じて自然な室内反応に加えられ、大聖堂、小さな親密な音楽会場、あるいはオペラハウスの自然でクリアなサウンドなど、会場が求めるアンビアンスを作り出します。
さらに5本のマイクがステージ上に設置され、アーティストからの音を集音し、ステージ・モニターを通してアーティストにフィードバックすることで、アーティストが最高のパフォーマンスをするための快適さと安心感を与えるクリアなサウンドを確保します。
「課題は、視覚的・空間的な影響を最小限に抑えながら、卓越したサウンドカバレッジを提供するようにサウンドシステムを設置することでした。これは、エレベーションスピーカーを天井の穴に隠し、フロントとサイドのスピーカーを特注のワインレッドにすることで、内装とシームレスに調和させることで実現しました。」と、ポズナンオペラハウスの舞台と客席の音響設計を担当したPracownia Akustyczna Kozłowskiのオーナーで音響家のピョートル・コズヲフスキー(Piotr Kozłowski)氏は説明します。
会場の音響効果はすでに優れていましたが、アンビエンスにより、ポズナンオペラハウスはさらに優れたオペラ劇場となり、音響技術により以前よりも自然でクリアで快適な音響が実現しました。同時に、スピーチ、室内オーケストラ、フィルハーモニー音楽、または音の大きいポップ・ミュージックに即座に適応できる、多用途の音響と最先端のテクノロジーを備えた多機能ホールとなる能力も獲得しました。これは、高価で設置が困難であると同時に柔軟性に欠ける重いカーテンや音響パネルを使用して空間のオーディオ特性を物理的に変更することなく実現されました。もちろん、ポズナンオペラハウスの場合、建物の保全上の理由からそれは禁じられていましたが。
「この会場は110年前、SRシステムがなかった時代に建てられたもので、私たちが上演する作品の多くもその時代のもので、SRを必要としません。私たちの目標は、この施設の伝統的なサウンドを維持することです。しかし、テクノロジーの発展により、私たちはアンビエンスのような創造的能力を拡張するツールを採用できるようになりました。それはとても良いことです。」とポズナンオペラハウスの音響・映写チーム責任者、クリスティアン・コワコフスキー(Krystian Kołakowski)氏は言います。
「ポズナンオペラハウスでは、伝統的なサウンドを大切にしています。私たちは、劇場の音響エンジニアがオーケストラのサウンドを作成し、観客全体に一貫した没入感のある音響体験を提供できるよう、最新のテクノロジーを採用しました。L-ISAテクノロジーとアンビアンス・アコースティック・システムのおかげで、各公演に合わせた没入感のあるサウンド体験を簡単に提供することができ、観客を各イベントの中心に置くことができます。」と、Audio Plusデザイン部門のディレクター、シルヴェステル・ヴォイチェシェク(Sylwester Wojcieszek)氏はコメントしています。
アンビエンスはさまざまなアーティストや公演を開催できるテクノロジーのおかげで、ポズナンオペラハウスに競争力をもたらしました。「ポーランドに音楽愛好家のための新たなホームができたことを大変嬉しく思います。豊かなオーディオを満喫し、極めて本格的なサラウンド・サウンドを体験できる場所です。アーティストが最高のパフォーマンスを披露する場でもあります。ポズナンオペラハウスでは、音楽家は喜びをかみしめ、指揮者は満足感を表し、すべての要素が調和しています。この変革は待った甲斐がありました。」コズヲフスキー氏は語りました。
「ポズナンオペラハウスでは、オペラには意味があると言いたい。そしてオペラは劇場である。オペラが意味を持ち続けるためには、未来の世代のニーズに応えなければなりません。そのためには、新しいテクノロジーを考えなければなりません。ポズナンオペラハウスでは、今日の芸術の地位を維持するために、どのようにリードし、どのようなパートナーと協力できるかを常に考えています。これが私たちの主な目標のひとつです。」とポズナンオペラハウス総支配人レナータ・ボロフスカ=ユシチンスカ(Renata Borowska-Juszczyńska)氏はコメントします。