Clearwing Productionsは、『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』のシネマコンサートのために1STBANKセンターでL-ISA Wideデザインを採用

2019年6月

遠い昔、はるかかなたの銀河系で…というか、今年6月、アメリカのコロラド州ブルームフィールドにある1STBANK Centerで、映画上映に伴って、コロラド交響楽団はオスカーを受賞した作曲家ジョン・ウィリアムズの『スターウォーズ:帝国の逆襲』のフルスコアを演奏しました。しかし、昨年コロラド交響楽団が演奏した『スターウォーズ:新たなる希望』の伴奏も含めて、人気の高い他のシネマコンサートより、このパフォーマンスを本当に際立出せたのは、Clearwing ProductionsによるL-ISAハイパーリアル・サウンド・テクノロジの採用でした。この導入により、観客に銀河系外の体験を提供することができました。

ClearwingはL-ISAに精通しています。ODESZAが公演したサンタバーバラボウル・ショーと、Bon Iverが同会場で行ったパフォーマンスにこのシステムを使用した北米で最初の会社です。しかし、同社がオーケストライベントのためにこの技術を展開したことは初めてでした。実は、それはコロラド交響楽団から明確に依頼をされました。

過去15年に渡って交響楽団の音響チーフを務めてきたAric Christensen氏は、昨年Lordeの『Melodrama』ツアーの際にPepsi CenterでL-ISAを初めて知りました。「もちろんポップショーでしたが、オーケストラで使用した場合、従来のデザインよりもはるかに広い範囲にわたってたくさんの楽器を正確に表現できるという点でどのように恩恵を受けることができるか、すぐにわかりました」と彼は言います。

L-AcousticsはChristensen氏をウェストレイクビレッジのL-ISAスタジオに招待しました。そこで、彼は目からうろこが落ちたそうです。「私はそこで、息をのむようなオーケストラのイマーシブ型レコーディングを聴いていました」と説明します。「私は週に5日素晴らしいオーケストラとリハーサルやショーを行っていますが、実際にミュージシャンの楽器の中にいたかのようで、その感情的な影響は信じられないほどでした。私たちの観客にも同じような体験をしてほしいと思いました。」

 
 

ClearwingアカウントエグゼクティブのJustin Beneke氏によると、1STBANK Centerでの『帝国の逆襲』のL-ISA Wideシステムは、60台のKaraが12台のエンクロージャによる5つのフライング・アレイと、外側にハングされた、12台のKiva IIによる2つの拡張アレイで構成されました。さらに4つのペアでスタッキングされた8台のKiva IIがフロントフィルとして均等に配置されました。同時に1面ずつに追加された4台のKiva IIが、パフォーマンス・エリアの遠端のフロントフロアとボウル席をカバーしました。カーディオイド構成でフライングされた8台のKS28サブウーハーによる2つのハングが中央のKaraアレイの後ろからローエンドを提供しました。また、システム全体はLA12XLA8LA4Xのアンプリファイド・コントローラの組み合わせによってドライブされました。

オーケストラのQuantumを搭載したDiGiCo SD7 FOHミキシング・コンソールでこれらのショーをミックスしたChristensen氏は、合計85人の演奏ミュージシャンがいたと指摘します。ハウリングせずに最高のゲインを得られるために、彼らのすべてにマイクがセットされました。これらの入力に加えられたのは、チューバッカやR2-D2の声を含む、ダイアログ、サウンドエフェクト、および補助エフェクト用のステレオ入力の3セットです。さらに、外部のマスターステレオリバーブユニットは、特に弦・木管楽器のためにコンサートホールの感覚をアリーナでも達成するために利用されました。

「L-ISAによって、非常に素晴らしいことをすることができました」とChristensen氏は説明します。「現代のオーケストラの第2バイオリンは常に、ハウスの左側にある第1バイオリンのすぐ隣にいますが、L-ISAで音場の反対側にそれらを置くことで、対位法のエフェクトを作りました。結果は本当によかったです。

「また、7つのアレイによる巨大なパノラマの中で作業するため、L-ISAの「ワイズ」機能を使用して各バイオリンセクションを複数のハングに広げました。第1バイオリンを実際の位置より左側に、そして第2バイオリンを実際の位置より右側に広げました。それで得られたこの本当に美しい、豪華な弦楽器のサウンドを、従来のLRやLCRのシステムでは、達成することが不可能だったのでしょう。」


2本の『スターウォーズ』映画のシネマコンサートの間に1年が経ったとしても、Christensen氏はそれらの違いを昨日のことのように覚えていて、前回と比べて2回目で改善されたところを迷うことなく言い出せます。「昨年、私はオーケストラを従来のLR構成でミックスして、ボーカルとエフェクトを中央にモノラルにまとめました。結果は良かったですよ。しかし、今年会場を歩きながらいくつかのバーチャルサウンドチェックをした際に、アリーナ全体を通して改善されたカバレッジと得られたパノラミック・イメージに感銘を受けました。L-ISAテクノロジーは、オーケストラの完全なミックスが観客に聞こえないはずであった席にも、オーケストラのサウンドを忠実に再生できました。本当に素晴らしいことです。」

Christensen氏は、システムを聞くためにやって来た多くのプロの音響家から多くの前向きなコメントを得たと報告しますが、彼のお気に入りの賞賛はどちらかといえば予想外の人からやって来ました。「私の隣に住んでいる年配の紳士が1回のショーに孫を連れてきました」と、Christensen氏は述べます。「彼は私の勤務先を知っていますので、ショーの数日後に出会ったら、彼は『私の孫たちはとても興奮して、今まで観た中で最高のコンサートの1つであると思っています』と私に告げました。」

「もちろん、経験を積んだオーディオのプロから素晴らしいコメントをもらうことはいつも嬉しいことです。しかし、オーディオのバックグラウンドをまったく持たない誰かに自発的に「オーケストラがこれまでに聴いたよりも優れていた」とほめてもらうことは、エンジニアにとって最高ですし、システムに対して大変良い兆しです。なぜかというと、オーディオマニアでない方は、その方法と理由を解説するための知識がないにもかかわらず、それがどれほど特別であるか気づいてくれたからです。」

Christensen氏は、このプロダクションを大成功に導いた貴重なガイダンスと支援を受けて、Clearwing ProductionsチームならびにL-ISA LabsエンジニアのCarlos Mosquera氏およびHollywood Bowl/Walt Disneyコンサートホールのプリンシパルサウンドデザイナー、Fred Vogler氏に感謝の気持ちを表しました。