Tedeschi Trucks Bandの『Wheels of Soul』ツアーにL-Acousticsが登場
PRGは最新北米ツアーにK2/KS28スピーカー・パッケージを提供します
2022年8月
グラミー賞を受賞したTedeschi Trucks Bandは、途切れることなくツアーを行うことで知られていますが、2020年に予定されていた6回目の『Wheels of Soul』ツアーの計画は、明らかに数年間ブレーキをかけなければなりませんでした。現在バンドは、オープニングアクトとなるLos LobosとGabe Dixon、そしてPRGが供給するL-Acoustics K2システムとともに、ツアーで北米を回っています。
今回のツアーは、Wheel of Soulの最初のツアーから3週間の休息期間を経て、6月24日にボーカル/ギターのスーザン・テデスキ(Susan Tedeschi)とギターのデレック・トラックス(Derek Trucks)の出身地であるフロリダ州ジャクソンヴィルでスタートしました。夫婦でもあるテデスキとトラックスのバンドは、頻繁にゲストアーティストを加え12人編成となっています。8月18日にサンディエゴのCal Coast Credit Union Amphitheaterで公演を再開した西海岸ツアーは、円形劇場、小屋、劇場などを回り、9月末にはニューヨークのBeacon Theatreで、毎年7公演で完売する、レジデンシーを行う予定です。その後10月と11月に18日間のヨーロッパ・ツアーが予定されています。
北米ツアーのPAは、長年TTBのクルーメンバーであるFOHエンジニア/プロダクションマネージャーのブライアン・スパイザー(Brian Speiser)氏とシステムエンジニアのクリス・ベドリー(Chris Bedry)氏の2人が担当しています。「ベドリーさんと私が『Wheels of Soul』ツアーにどんなシステムが最適なかを考えた時、大きな会場をカバーし、大きなフルレンジサウンドが得られるシステムが欲しいと思いました。」と、Indigo Girls、Brandi Carlile、They Might Be Giantsのツアーでミキシング経験を持つスパイザー氏は語ります。「私たちは、毎日2人だけでリグ全体を仕込むため、サブウーハーをフライングせずにツアーを回りたかったのです。ベドリーさんは、K2リグを利用すればフライングサブがなくとも会場全体に十分なローエンドを再生できると提案しました。以前のツアーで使っていたシステムにサブウーハーをフライングするための余分な労力と機材を追加するよりも、その方法でいこうと決めたのですが、正解でした。K2のおかげで、ローエンドを以前よりも遠くに届けることができ、すべての会場を非常に均等に完璧にカバーできるようになりました。」
スパイザー氏によると、L-Acousticsへの思い入れは、数年前にV-DOSCを体験したときにまでさかのぼるそうです。「初めてV-DOSCでミキシングをした時は驚きの連続でした。各楽器がそれぞれの空間で生きていることに感銘を受けました。他のシステムでは、特に低音域で似たような特徴を持つ楽器があると、それらの楽器がスペースを奪い合わないように、オーバーEQをかけることがよくありました。一方、V-DOSCでは、そのようなことはありませんでした。V-DOSCでは、楽器がうまく調和して、音楽的でありながらハイファイなサウンドが感じられました。Tedeschi Trucks Bandは、数年前からヨーロッパでKaraを使用してツアーを行っていますが、機材が正しくセットされれば、こんなにも素晴らしいことができるのかと印象に残っています。また、K1とK2リグを使用していくつかのフェスティバルに参加しましたが、どちらも素晴らしい結果を得ることができました。」
現在のツアーでは、会場の大きさや重量制限の違いによりPAの構成を日々変更していますが、最も一般的なショーデザインは、メインハングに片側16台のK2エンクロージャー、サイドハングに各8台のKaraをフライングしています。その下には、片側6台のKS28サブウーハーが3台ずつカーディオイド構成でスタックされ、6台のKaraをステージ全体に広げてフロントフィルを提供しています。アンプリファイド・コントローラーは、LA-RAKに、メインとフロントフィル用に18台のLA8とサイドハングとサブウーハー用に6台のLA12Xが搭載されています。
スパイザー氏によれば、バンドメンバーが高く評価しているのは、サブウーハーやこのPAの後ろで「張り合う」必要がないことだそうです。「Kシリーズは、キャビネットの背面から聞こえる音は小さく心地よく、一緒に演奏しやすいので、バンドがFOHの音に影響されることを考慮した、きわどいミックスがなくなりました。また、PAがフルレンジであるため、サブウーハーから大量にローエンドのエネルギーを放出する必要がないことも分かりました。KS28の数台をカーディオイド構成で使用しているので、ミックスに追加した低域の情報がバンドの邪魔になることはありません。
「前方の席では、確かにどの会場でもカバレッジは非常に均一に感じました。一番奥の席では音量に若干のばらつきが見られますが、周波数特性の変化はありません。会場の後方で聴く音は、ステージに近いところで聴く音と同じで、少し静かになっただけです。そして、このツアーでは、より困難な環境であっても、ショーは一貫して良いサウンドを出しています。」
ベドリー氏は、優れたカバレッジに同意を示し、その一部にSoundvisionの新しいツールが貢献していると評価しています。「Autosolverは本当に役に立っています。」「Autosplayは、私のPAアングルを非常にうまく設定してくれます。何度か微調整をしたこともありますが、ほとんどはAutosplayが表示したものをそのまま使用しています。また、 Autofilterのおかげで、大気の状態、目標SPL、周波数特性を考慮しながら、このシステムで最適なレベルとカバレッジを非常に迅速に設定することができました。機材を1つ接続する前に予測ファイルでより多くの作業を行うことは、非常に有益なことです。PAをオンにしたときの結果は一貫して正確で、会場全体で均一な周波数とレベルのレスポンスを得るためのチューニングプロセスの作業が大幅に軽減されていることに気づきました。
「K2のPanflexでHFパターンを柔軟に調整できる点も気に入っています。最初は90度という設定に懐疑的でしたが、今では非対称のホーンパターンという考え方に納得しています。イメージングに優れているだけでなく、狭い会場でも高域が壁に跳ね返らないようにすることができ、最終的に私たちが日々目指しているハイファイサウンドを実現するのに役立っています。」
ベドリー氏はさらに、その音質がファンとアーティストの両方から評価されていることを指摘します。「このシステムのサウンドについて、様々な人からたくさんのフィードバックをもらっています。デレック・トラックスとファルコンと呼ばれるドラマーのタイラー・グリーンウェル(Tyler Greenwell)は、このPA後で演奏するのが簡単だと何度も私に話してくれました。彼らはFOHのサウンドがステージの音にほとんど影響を及ぼしていないことに感銘を受けています。そしてスキップと呼ばれているツアーマネージャーのケン・リッチマン( Ken Richman)氏もこのPAを高く評価しています。」
スパイザー氏とベドリー氏は、PRGとL-Acousticsの両方から受けたサポートも感謝しています。「L-Acousticsのデヴィッド・ブルックス(David Brooks)さんとヴィック・ウェイガー(Vick Wager)さん、そしてPRGのチャンス・スタールハット(Chance Stahlhut)さん、ジョー・ビーゲル(Joe Biegel)さん、その他すべての人たちから、L-Acousticsの機材を導入する際に受けたカスタマー・サービスは他に類を見ないほどでした。」とスパイザー氏は付け加えます。「彼らは皆、私たちを歓迎し、機材とソフトウェアについて十分な準備と心地よさを確認するために、人並み以上の努力を払ってくれました。それが、私たちの成功の大きな要因となりました。」