今年の初め、世界最大のサイクルレースのひとつである『Santos Tour Down Under』が、L-Acoustics Syvaコリニア・ソース・システムを使用した、目立たないけれど、高品質のSRシステムを提供する多種多様なイベントの1つになりました。

2019年4月

Syvaは、ボローニャ大学の歴史的な講堂やソルボンヌ大学のグラン・アンフィテアートル、ルーブル美術館で開催されたルイ・ヴィトン・パリ・ファッション・ウィーク、メリーランド州のマウンテン・クリスチャン・メガチャーチ、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールとニューヨークのフォレスト・ヒルズスタジアムで開催された、L-ISAイマーシブ・ハイパーレアル・サウンドのによるalt-Jのパフォーマンスなど、様々な会場で中心的な役割を果たしてきました。

Syvaが最新のオーストラリアのイベントで登場したことは、その履歴に貴重な項目を加えます。

Santos Tour Down Underは、ツールドフランスやジロディタリアを含むUCIワールドツアーの重要なイベントです。過去20年間に渡って毎年アデレードで開催されてきた、780,000人以上のファンを集めるこのレースは、名高いUCI ワールドツアーに登録されたことによって、世界のエリートサイクリングチームが参加するヨーロッパ以外で最初のレースになりました。

Novatech Creative Event Technologyが、イベントのPAとビデオスクリーンインフラストラクチャを提供しました。そのため、同社はレースのスタートとゴール・ステージだけでなく、コース上にも、トラックサイドからフルレンジで高品質のサウンドを提供できるPAシステムをデザインするという課題に取り組みました。当日のセットアップと撤収、そしてトラック上のレースの障害を最小限にすることが、必須条件のリストに加わりました。

Ⓒ Rosina Possingham (Bartels Rd on 13 Jan.)

 

Ⓒ Rosina Possingham (Bartels Rd on 13 Jan.)

Novatechは、カスタムデザインの自立スタンドを使用し、AVBベース光ファイバーネットワークを介したオーディオ配信を使用して、トラックに沿って30〜50メートルごとにL-Acoustics Syvaを展開することにしました。

「これにより、高品質のフルレンジ・オーディオを観客に提供できるだけでなく、2週間も前にケーブル配線やホーンスピーカーを配置することなく、セットアップおよび撤収は当日にできるようになります」とNovatechセールズ&マーケティング・ディレクタのAshley Gabriel氏は思い出します。「また、はしごや高所作業の必要がないため、クルーにとってこれまでの作業方法に比べ大幅に安全性が向上しました。」

考えられる懸念の1つは、南オーストラリアの夏の埃っぽく熱い環境の屋外でSyvaを使用することです。また雨の可能性も考慮しなければなりませんでした。SyvaはすでにIP54の国際保護等級(IP規格)を取得していますが、L-Acousticsおよびオーストラリア認定ディストリビュータ「Jands」と協力して、保護をさらに強化するカスタムブラケットを用意しました。40度以上の暑さにもかかわらず、イベントのSyvaと演台のKara PAは追加の冷却を必要とせず完璧に機能しました。

 

Ⓒ Rosina Possingham (Bartels Rd on 13 Jan.)

Novatechクルーは、スタートチームとゴールチームに分かれ、Syvaタワーの設置と各サイトへの信号配信を行いました。すべてのオーディオ信号は、新しいL-Acoustics P1 AVBオーディオプロセッサを経由してイーサネットAVBで伝送され、ビデオはRiedelのMediorNet経由で大型LEDスクリーンに伝送されました。光ファイバ・ネットワークを使用することで、数キロメートルにわたる信号配信が可能になりました。「各Syvaは専用のLA4Xアンプチャンネルによって個別にフィードされているので、大容量のワイヤレスネットワーク経由でLA Network Managerを使用して、ワイヤレスタブレットによって各出力をタイムアラインしました。従って、ホーンスピーカーの際に良くあるディレイエフェクトがなくて、システムの明瞭度と透明度が高められました。私たちがカバーした最長のサーキットは、アデレードのRymill Parkの周囲1.7kmのステージでした。そこでLA4XとLA12Xアンプリファイド・コントローラーの組み合わせでドライブされたSyvaと、L-Acoustics Karaのインフィルを、4つのストレートに使用しました。

Syvaは、物理的な影響を最小限に抑えるように設計された、高忠実度、高SPLの出力を備えたコリニア・システムです。各キャビネットは、広い水平方向のカバレッジと広範囲のスローを可能にするために、6つのMFとDOSCウェーブガイドによる3つのHFドライバーを使用しています。「広い分散パターンのおかげで、1本のスピーカーで道の両側をカバーすることができました」とGabriel氏は指摘します。「また、高出力により快適に50メートル、風さえなければ最大75メートルのスローを達成できます。そして低域も素晴らしかった!最初にそれらを取り付けたときの、レース運営役員と解説者の顔を見せたかったです!」 ツアーのシステムとして、Syvaのメインユニットのみが使用されましたが、オプションのSyva LowおよびSyva Subユニットにより、それぞれ40Hzおよび27Hzまでのレスポンス拡張が可能です。

「これは忙しいけれど、エキサイティングなイベントです」とGabriel氏は締めくくります。「観客にゴールラインに向かうライダーのアドレナリンを感じさせるために、Syvaで達成できる限りの、高い明瞭度と透明度を提供することに取り組みました。スピーカーの存在をを忘れさせる、優れたものが必要でした。完全に成功しました。みんながレースに没頭していました。」

Ⓒ Rosina Possingham (Bartels Rd on 13 Jan.)