2024年3月
スーシティのTyson Events Center(タイソン・イベントセンター、TEC)にあるフリート・ファーム・アリーナ(旧ゲートウェイ・アリーナ)は、PRCA(Professional Rodeo Cowboys Association)のロデオイベントを開催することで知られていますが、それだけではありません。この会場では、ハーレム・グロベトロッターズがフルコートプレスを披露するバスケ試合や、ホットウィールのモンスター・トラック・ライブなど、いつも何かが開催されています。フリート・ファーム・アリーナは多目的に利用できる人気のある場所です。ディズニー・オン・アイス、高校女子レスリングの地区大会、コンサート、ファミリー・ショー、企業イベント、そして、年間30回のスーシティ・マスケティアーズのアイスホッケー試合や年間6回のバンディッツのインドア・フットボール試合など、たくさんのスポーツ・イベントで利用されます。

Tyson Events Centerは過去20年間、数え切れない程の来場者を楽しませてきましたが、アリーナのオリジナルサウンドシステムのパフォーマンスは以前から劣化しており、本格的なリフレッシュが必要でした。「2003年のビル建設時に導入された分散型ポイントソース・システムは、ドライバーとアンプの両方に複数の不具合があったため、明瞭度が劣り、その分ボリュームで補うことにしていましたが、やっぱりダメでした。」と、デンバーに本拠を置くBrown Note Productions (BNP)シニア・インテグレーション・プロジェクト・マネージャのマット・バウアー(Matt Bauer)氏は語ります。「システムを更新する時期が来ていました。」


Tyson Events Centerは、3年前BNPがL-Acoustics A10スピーカーシステムをインストールした、コロラド州ラブランドのBlue Arena(旧Budweiser Events Center)も管理するOak View Group(OVG)によって管理されています。OVGはBlue Arenaの結果に感銘を受け、同様のソリューションを再びBNPとL-Acousticsに依頼しました。

バウアー氏は加えます。「Blue Arenaの成功をもとに、AシリーズがTyson Events Centerにとって理想の選択だと確信していました。A10iは費用対効果とL-Acousticsの実績あるパフォーマンスとの完璧なバランスを実現しており、そのおかげで、予算に見合ったコンパクトなパッケージから素晴らしい結果を得ることができました。また、LA7.16iアンプリファイド・コントローラーを追加することで、各エンクロージャーを個別の系統でドライブし、Soundvisionのオートフィルターツールを活用して、アリーナ全体で均一なSPLとトーンバランスを確保できることも分かっていました。」


TECの新しいL-Acousticsスピーカーシステムは、アリーナのU字型に傾斜した客席形状に対応するA10iによる9つのアレイで構成されています。3台のA10i Focusの下に1台のA10i Wideを組み合わせた6つのアレイがフロアサイドをカバーし、3台のA10i Focusの下に2台のA10i Wideを組み合わせた3つのアレイがエンドゾーンの客席をカバーしています。さらに、巨大なビデオスクリーンがある反対側のエンドゾーンに、2台のA10iハングが左右に、1台のA10iハングが中央に設置されました。3つのハングに分かれた12台のSB18 IIiサブウーハーがアリーナのフロア中央にフライングされ、6台のA10iによるウォーターフォール・アレイがフロアをカバーするために下に向けてフライングされています。

3台のL-Acoustics LA7.16iと2台のLA12Xアンプリファイド・コントローラーは、わずかの10Uのラックスペースしか必要とせず、10,000人収容のアリーナを全てカバーするPAシステムを駆動しています。また、P1プロセッサーも使用されており、全てのオーディオトラフィックにMilan-AVBでの伝送が使用され、アナログフォールバックも用意されています。BNPはさらに、この新しいスピーカー・デザインにQSC Q-SYSコントロール・システムを組み合わせ、TECのスタッフがボタン一つで簡単にシステム設定を呼び出し、モニタリングできるようにしました。


バウアー氏は、L-Acoustics Aシリーズのエンクロージャーがこのプロジェクトに最適であった理由をいくつか挙げています。「A10iのPanflexによる水平指向性とWideとFocusの異なる垂直指向性の両方を調整できる能力により、望む場所だけに精密な拡声を実現することができ、全ての観客エリアを確実にカバーすることができました。また、システムの運用テストで、アリーナの東端にある未処理の壁への反射をなくすために、Panflexが特に役に立ちました。Tyson Events Centerでは、我々がL-Acousticsのシステムに期待していることを正確に体験しています。すべての客席に同じ音が届いているということです。12台のSB18 IIiのセンターハング・アレイにより、システムは素晴らしいインパクトと音楽性を持っています。どのリスニングエリアでも明瞭度が大幅に向上し、TECの全員が非常に満足しています。」

スーシティのTyson Events CenterとOrpheum Theatreのジェネラルマネージャーであるニック・パルミオティ(Nick Palmiotti)氏も同意です。「新しいサウンドシステムの恩恵を受けた最初のイベントは、Musketeersのホッケー試合でしたが、すぐに雰囲気の違いを感じ取れました。当アリーナで開催されるイベント、特にスポーツの環境が完全に変わりました。特にホッケー・ファンからは、新しいサウンドシステムの評価が相次いでいますが、私もまったく同感です。カバレッジは完璧で、音は鮮明です。ファンにはアナウンサーの声がはっきり聞こえ、音楽が会場全体を盛り上げてくれます。」

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