L-ISAテクノロジーは、Wonderfruit Festival でEDMファンを魅了する
2023年6月
2年の休止期間を経て、東南アジアで最も期待されるエレクトロニックとオルタナティヴ・ミュージック・フェスティバルの一つであるWonderfruitが2022年末に復活し、25000人のファンを喜ばせました。この4日間の野外フェスティバルでは、地域や国際的なツアーアーティストが幅広く出演し、2014年から続くこのフェスティバルは、健康的なライフスタイルを追求する活動に加えて、多様なライブ音楽やアートを披露してきました。今年も、サイアム・カントリー・クラブでは、日中はワールドミュージック、ジャズ、タイ・ファンクのパフォーマンスが行われ、日没後にはエレクトロニックビートに変わりました。
約57haのフェスティバル会場にある12のステージの中で、「Polygon」はその独創性で際立っています。 2,000人以上を収容できるPolygonステージは、直径25mのハニカム状のドームで構成されています。この半球形状の構築物では、L-Acousticsの360°L-ISA Immersive Hyperreal Soundテクノロジーと最先端の照明・映像エフェクトを使用しています。 2018年のWonderfruitでデビューしたドームは、優しい芳香を漂わせるなど、来場者の体験をさらに高める多感覚のデザインになっています。
昨年のPolygonステージでは、Viken Arman、Photay、Âme、O/YなどのEDMアーティストのライブパフォーマンスが真夜中まで行われました。
ライブのセットでは、EDMアーティストにとって、彼らの知られた曲を新たな解釈やアレンジで表現する機会を提供します。Polygonのチームがアーティストに360°のイマーシブ・オーディオで演奏する機会があると伝えた時から、彼らはこの新しいテクノロジーに向けてセットを準備するために協力し始めました。アーティストが世界中に散らばっているため、これらのセッションは対面とリモートの両方で行われました。
フランスのDJプロデューサーであるViken Armanは、フェスティバルが始まる前にロンドンのスタジオでL-ISAを試すことができました。ミニマルなスタイルのエレクトロニック・ミュージックで知られているArmanは、L-ISAシステムにすぐに圧倒され、丸一日かけて自分のトラックを同システムで試聴しました。「ロンドンのL-ISA スタジオを出たとき、これが単なるサラウンド・スピーカーに接続されたイマーシブ型ガジェットではないことを実感しました。従来のステレオミックスを超えた可能性がたくさん見えて、Wonderfruitでの僕の演目の曲にある各サウンドの空間化について批判的に考えるようになりました。」と語ります。
パフォーマンスに先立ち、ArmanはWonderfruitのPolygonステージでライブミックスを実験してみました。そこで、デイヴィー・ウィリアムソン(Davey Williamson)氏を筆頭に、マット・ガッシュ(Matt Gush)氏やマット・ヒル(Matt Hill)氏を含むPolygonの空間化エンジニアが、パーカッシブでモジュラーなシンセサイザーの要素をL-ISAシステム上で動かす手助けをしました。
アメリカのミュージシャンであるPhotay (本名:Evan Shortstein)は、現場でより長いサウンドチェック時間を必要としました。オンラインでガッシュ氏と相談してから、ホームスタジオやタイへ移動する飛行機の中でパフォーマンス素材を準備しました。サウンドチェックの時、Photayはステムを明確なカテゴリに分類したチャンネルに整理するビジョンを固め、スムーズなトランジエント・テキスチャー、リズミカルなビート、メロディ、パーカッション、ドラムを実現できました。
「イマーシブ・パフォーマンスをミニマルな捉え方でアプローチしました。」とPhotay は説明します。「L-ISAシステム内を探り、各サウンドとグループを様々な高さと深さに割り当てる自由を与えてくれました。」
他のアーティストと同様に、ベルリンに本拠を置くO/Yは過去に8ポイントのサラウンドシステムを使ったことがあり、オーディオ・インタフェースを用いて8chをアンビソニックシステムにルーティングしていました。今回のショーを準備するために、L-ISAのスタジオ・セッションで64の出力チャンネルの実験を始めました。そのセッションの後、O/Yは曲のステムを再編成し、ライブミックスに再び取り組みました。バスミックス、入力リターンチャンネル、マスターチェーン処理を必要としない、64の出力チャンネルごとにクリーンで簡潔な全体ミックスを仕上げました。
サウンド・アーティストPhan Tu率いる集団Earth Echoは、違うアプローチで昼間のサウンド・ヒーリング・セッションの準備をしました。Earth Echoのサウンド・バスのコンテンツとして、Tuはサウンドスケープの再生とライブ楽器の両方を使用し、それを参加者の周りを移動させて彼らが動いている音を体で感じるように工夫しました。
ガッシュ氏は、Earth Echo担当の空間化オーディオエンジニアであるダニエル・フィゴルス(Daniel Figols)氏から曲を受け取り、Delta Live L-ISA Studioでミックスを最適化しました。「フィゴルス氏がミックスを用意したのち、毎年サウジアラビアで開催されるMDLBEASTのSoundstormフェスティバルで、同様のPolygonリグを使ってコンテンツを試しました。」とTuは言います。「曲がライブスペースでどのように耳と体に届くのかを把握するために重要で、そのおかげでWonderfruitでの体験を最適化するために、サウンドとステムを調整できました。」
L-ISAイマーシブ・オーディオを用いることでイマーシブ構成がサウンド・バスを完璧に再現し、物理的な楽器を空間で演奏する必要もなく、Earth Echoのプログラムは一度によりパワフルなオーディオ体験をより多くの方に提供できました。
Photay、Viken ArmanとO/Yにとって、WonderfruitのパフォーマンスでL-ISAを使うのは初めての経験でした。包括的なイマーシブ・オーディオ・システムは、彼らが独自のエレクトロニック・ミュージックを演奏する方法を変え、演奏や即興演奏を行う際により創造的な感じを持つようになりました。観客との音楽的な対話もまったく新しい経験であり、フェスティバルの来場者に好評でした。
「僕のセットの時は、オーディエンスは踊るというよりは「聴く」に興味があったようです。」とO/Yは語ります。「このユニークな反応を呼び起こすのはL-ISAテクノロジーしかないでしょうね。PolygonがプロデュースするL-ISAによるフェスティバルは、体験を大きく変えるものです。」